今の彼が好きだと思う。
なのにあの人が目の前に現れただけで
こんなにもグラグラと揺れるアタシがいる。
一人になってからいくつも恋をした。
今の彼と付き合う前に一緒に暮らした人だって
忘れるのにかなり時間がかかった。
あの人だけしか愛せなかった訳じゃない。
だけどあの人の存在がアタシの心をかき乱す。
きっと当時の想いが強く残りすぎて、
そして終わりのないまま打ち消してしまっていたので、
こんなにも迷うんだろうと自分では思う。
とても、とても好きでたまらなかった。
そんな過去の自分が彼の手を手放すのを拒む。
あの時のようにいなくならないで、と。
それでも本当はわかっている。
あの人はまたアタシの前から姿を消す。
そしてまた来るか分からない連絡を待つ日々が始まる。
ある日いきなり音信不通になって。
そして何年も置いてきぼりをくらってしまう。
それでもあの人を許して受け入れる自分。
何も教えてくれないあの人だけど、
あの人が考えている事は分かる。
疲れ果てた時に戻る場所が欲しい、
その場所がお前なのだと。
だからあの人はそれを信じてまた姿を消す。
単なるエゴとワガママなのを自分でも分かりながら
それでも許してくれるアタシを求めるのだ。
残酷で、卑怯で、自分勝手なあの人。
そしてアタシは答えを出した。
あの人とアタシの為に。