源氏物語(一帖「桐壺」第三章 光る源氏の物語 第七段、第八段) | 日日是家紋

源氏物語(一帖「桐壺」第三章 光る源氏の物語 第七段、第八段)

第三章 光る源氏の物語

 [第七段 源氏、左大臣家の娘(葵上)と結婚]
 その夜、大臣のお邸に源氏の君を退出させなさる。婿取りの儀式は世に例がないほど立派におもてなし申し上げなさった。とても若くおいでなのを、不吉なまでにかわいいとお思い申し上げなさった。女君は少し年長でおいでなのに対して、婿君がたいそうお若くいらっしゃるので、似つかわしくなく恥ずかしいとお思いでいらっしゃった。
 この大臣は帝のご信任が厚い上に、姫君の母宮が帝と同じ母后のお生まれでいらっしゃったので、どちらから言っても立派な上に、この君までがこのように婿君としてお加わりになったので、東宮の御祖父で、最後には天下を支配なさるはずの右大臣のご威勢も、敵ともなく圧倒されてしまった。
 ご子息たちが大勢それぞれの夫人方にいらっしゃる。宮がお生みの方は、蔵人少将でたいそう若く美しい方なので、右大臣が、左大臣家とのお間柄はあまりよくないが、他人として放っておくこともおできになれず、大切になさっている四の君に婿取りなさっていた。劣らず大切にお世話なさっているのは、両家とも理想的な婿舅の間柄である。
 源氏の君は、主上がいつもお召しになって放さないので、気楽に私邸で過すこともおできになれない。心中では、ひたすら藤壺のご様子を、またといない方とお慕い申し上げて、「そのような女性こそ妻にしたいものだ、似た方もいらっしゃらないな。大殿の姫君は、たいそう興趣ありそうに大切に育てられている方だと思われるが、少しも心惹かれない」というように感じられて、幼心一つに思いつめて、とても苦しいまでに悩んでいらっしゃるのであった。

 [第八段 源氏、成人の後]
 元服なさってから後は、かつてのように御簾の内側にもお入れにならない。管弦の御遊の時々、琴と笛の音に心通わし合い、かすかに漏れてくるお声を慰めとして、内裏の生活ばかりを好ましく思っていらっしゃる。五、六日は内裏に伺候なさって、大殿邸には二、三日程度、途切れ途切れに退出なさるが、まだ今はお若い年頃であるので、つとめて咎めだてすることなくお許しになって、婿君として大切にお世話申し上げなさる。
 お二方の女房たちは、世間から並々でない人たちをえりすぐってお仕えさせなさる。お気に入りそうなお遊びをし、せいいっぱいにお世話していらっしゃる。
 内裏では、もとの淑景舎をお部屋にあてて、母御息所にお仕えしていた女房を退出して散り散りにさせずに引き続いてお仕えさせなさる。
 実家のお邸は、修理職や内匠寮に宣旨が下って、またとなく立派にご改造させなさる。もとからの木立や、築山の様子、趣きのある所であったが、池をことさら広く造って、大騷ぎして立派に造営する。
「このような所に、理想とするような女性を迎えて一緒に暮らしたい」とばかり、胸を痛めてお思い続けていらっしゃる。
 「光る君という名前は、高麗人がお褒め申してお付けしたものだ」と、言い伝えているとのことである。(「源氏物語の世界(渋谷栄一著)」より)
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源氏物語の【0の巻】と呼ぶにふさわしい本。きっと参考になりますよ。




原作に忠実。という訳ではないですが、大筋をつかむにはよいかも…

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