ベトナムの首都ハノイ。


一泊3ドルの安宿でうだうだと数日過ごしているうちに、

その宿に泊まっていた日本人の子と顔見知りになりました。

そして、その子が宿を去るのを見送るときに、

一冊の本をくれました。

「たけぢぃも次の人に渡す前に名前を書いてね。」


その本と一緒に宿に取り残された僕は、

西洋人バックパッカーたちが騒ぐ食堂の中で、

テーブルについてぱらぱらとページをめくってみました。

乾期の猛暑ではないにしても、やはり南国の空気は肌にねとつきます。


何てことはない、普通の文庫本。

その本の最後のページには何人かの名前が書かれています。


○○ まさとし  01.2/4 カンボジアにて

○○ あゆみ  01.4/5 バラナシ(インド)の安宿で瞑想中

○○ ゆきえ  2001年5月3日  ↑と同じくインドにハマってまーす

よし        01.7/4 ISTANBUL,TURKEY  直巳師匠熱い!

・・・・・(略)

○○ なお    02.9/3  ベトナム ハノイ これからフエに行きます!


もう1年半くらい人手に渡りながら

この本は旅をしていました。


数ヶ月、数年と外国を旅をする長期旅行者にとっては

日本語の活字が恋しくなるものです。

幸か不幸か、僕が今手に取っている本は

日本の片隅の書庫で、ほこりを被ることなく、

大陸を渡り歩いていました。


(インドからトルコまで陸路で行って、

そこから飛行機で東南アジアまで戻ってきたのか、

西を目指した人が東を目指す人に渡したのかな)


当時のこの本の持ち主がどういう旅路を経てきたのかを

勝手に空想するのも楽しいものです。


  植村直巳「青春を山に賭けて」

僕はその時、ベトナムのおんぼろ宿で旅人から本を渡されるまで、

植村直巳を知りませんでした。

不思議な縁を感じます。


初めて世界5大陸?の最高峰を制した日本人登山家、植村直巳の自伝は、

旅情を誘うと同時に、気合も入ります。


この本は僕が日本に帰ってからも、このたった今も

どこかの大陸で誰かのカバンの中に入っているかもしれない。

そう空想すると、植村直巳が羨ましく思えます。


気合が入ったところで・・・まぁもうしばらくここでだらだらしてようかな。

せっかく日本語の本もあることですし。


たけぢぃ@BBブログ水曜日担当