BBブリッジ公式ブログ クワトロB(BB-Bridge Blog) -14ページ目

BBブリッジ公式ブログ クワトロB(BB-Bridge Blog)

ライフサイエンス・メディカル分野の研究開発動向などの情報を発信しています。本ブログへのリンクは大歓迎です。ブログ内容や写真のすべてまたは一部の引用は事前にご連絡をお願いします。

おはようございます。
BBブリッジの番場です。


先日、JBAの企画で日本血液製剤機構(JB)の千歳工場に見学できる機会がありました。バイオ医薬品分野で仕事をしている自分にとって、工場見学 特に普段見る機会はない血液製剤の製造工場というのは非常に興味があり、すぐに申し込みました。
血液製剤は献血によって得られた血液中の血漿分画成分を抽出し、それをそれぞれ機能の持つタンパクに精製して医薬品として利用するものです。例えば血友病の治療に使用される第8・9因子製剤、低アルブミン血症の治療に利用されるアルブミン製剤などがあります。
JBは田辺三菱製薬のグループ会社である㈱ベネシスと、日本赤十字社の血漿分画事業部門の合併によって2012年に設立されています。
日本で血液製剤の製造・販売を行うのはJBのほかに、日本製薬㈱、(一財)化学及血清療法研究所(化血研)があります。JBの担当者の話では、この国内3社においてJBがシェア半数強を持っているそうです。また、血液製剤供給元の1つである化血研は、実際の製造工程が承認申請したプロトコールに従っていなかったとして、同社の血漿製剤が2015年6月から出荷停止になっています。
海外では民間企業によって血液製剤が製造・販売されています。大手企業では豪州CSL、米国Baxter、米国Grifolsなどがあり、いずれも日本の3社の10倍以上の製造量を持っています。
工場見学では会社概要や血液製剤の状況などを説明頂き、また工場内では血液製剤の原料となる血症分画の集荷、マイナス30度以下の保存倉庫、各タンパクへの精製工程などを見学させて頂きました。

日本では高齢化などによって血液製剤を使用する対象者が増える一方で、若年者の減少によって献血者数の減少が見込まれており、これをどのように解決するべきかが大きな課題になっているとのことでした。
血漿分画製剤の製造の問題解決の1つの方向性が遺伝子組み換え技術を用いた有用タンパクの製造です。実際に欧米では血液凝固因子(第8因子など)は遺伝子組み換え技術によって製造されたものを使用することが増加しています。日本では田辺三菱製薬がヒト血漿アルブミン製剤「メドウェイ」(ピキア酵母によって製造)を開発・上市しました(その後、製造上の問題により製版承認を取り下げ、再度上市を目指している)。

遺伝子工学などバイオ医薬品の製造技術が発展すれば、いずれはすべての血漿分画製剤が遺伝子組み換え技術によって安定的に製造できるようになるかもしれません。実際にバイオベンチャーの㈱メガガリオンでは血液成分の1つである血小板をiPS細胞を用いて安定的に製造する事業に取り組んでいます。
今後、献血による血液製剤の製造と遺伝子組み換え技術を用いた製造がどのように進んでいくのか、遺伝子組み換え技術はどこまで血漿分画製剤に対応できるのかなど注目されます。

今回、実際に足を運んで工場を見学することで、改めていろいろな気づきや発見がありました。このような機会を頂いた日本血液製剤機構およびJBAの関係者には深く感謝いたします。



日本血液製剤機構 千歳工場