あまりに遅すぎる映画レビュー「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 | Bazookajoe's TRASH TALK

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取り合えず日々の出来事を書きます。たまに映画の評論もしたいです。たまにテレビ番組の評論もしたいです。偉そうに評論なんて言葉使ってすみません。出来ればスポーツの話題にも触れ、世の中の出来事にも何か言ってみようと思います。ちなみに映像屋です。

 久々の更新は「あまりに遅すぎる映画レビュー」です。今回取り上げるのは「SPACE BATTLESHIP ヤマト」です。なぜヤマトなのか・・・先日TBSでOAしてたからです。ではなぜ見たのか? 以前ここで「この手の映画は見ない!!」っていってたんですが、実は従弟が出てるんで、テレビでやるなら見ようと思っていたからです。その結果・・・ひどい・・・、ひどすぎる・・・。この映画にお金を出して見にいくのはもったいなすぎる。冒頭のヤマトが発信するシーンこそ頑張ったなと思いましたが、それもつかの間って感じですかね。

 では少々細かくいきましょう。まずは全体として演技がひどすぎる。結局木村拓哉さんは木村拓哉さんでしかないし、戦闘中の艦橋も緊張感がない・・・。その代表例が相原(ヤマト航海班で通信全般・索敵・情報解析でマイコさんが演じています)がひどい。演技になっていないので、まったく緊張感がない。どういうことかと言うと・・・

「敵の攻撃が来ました!!」・・・ハイテンション

「敵の攻撃を回避しました!!」・・・ハイテンション

「敵の攻撃がまた来ました!!」・・・ハイテンション

全部同じ演技でメリハリもなければ戦時におけるこの部分の重要性をまったく理解していないとしか思えない。もう少し戦争映画を研究してから挑むべきでしたね。さらに女性が多すぎます。未来のお話とは言え、一応SF戦争映画(主題はそこではありませんが)です。もちろん海外のSF戦争映画でも戦闘員に女性の配役と言うのは多々あるパターンですが、海外の映画のそれはもっとたくましさを感じさせる女性ばかりです。なんだか芸能事務所との約束でとりあえず役創って放り込みました感が満載でした。

 続いては技術面ですが、撮影&編集的にもやたら引き画が多く、敵のミサイルが当たってドーン、みんな一斉に衝撃を受ける・・・みたいな。あまりにリアリティにかける演技をロング一辺倒(少なくても印象はロングだらけ)で見せてくれるのでびっくりです。正直学芸会みたいですね・・・。この映画、結局多くの部分をグリーンバックで撮影しています。この時点でリアリティなるものは相当なくなりますが、そこをカバーするのが俳優さんたちのお仕事。ところが一部の俳優さんたちのレベルがびっくりするぐらい低いので、結局緊張感がなくなってしまう。一見「演技がダメだから・・・」で片づけられそうなお話ですが、これをそのまま見せている技術サイドにも大きな問題あると思います。これに緊張感を持たせるには寄り画の演技が必要になってきます。例えば上記の「敵の攻撃が来ました!!」のくだりをもっと詳細に寄り画とのカットバックなどを多用すれば、戦いという緊張感が出るはず・・・。衝撃などもロング一辺倒(アップもあったかもしれませんが、印象がない)で、みな同じ方向、同じタイミングで揺れる・・・。撮影や編集が演技のなさをカバーする余裕みたいなものがあれば、もう少し何とかなったのかなと思いつつ、こんなことを言われなくてはいけない技術クルーには同情しますが・・・。ちなみにVFX舞台は相当頑張ったと思いますよ。アナライザーのトランスフォーマー(これの良し悪しは後程触れます)みたいなバトルシーンは圧巻と言ってもいいぐらいでした。

 最後に物語+キャスティング→台本に少しふれておきましょう。これはもともと宇宙戦艦ヤマトを知っている、見て育った世代からすると、相当ひどい気がします。まず、森雪の立ち位置。これ、なんでブラックタイガー隊エースパイロットにしてしまったんだろう?全く理解できない。ヤマトにおける森雪の立ち位置は紅一点でみんなの憧れ的存在。そこから考えていくと相原=マイコ(誰だよく知らないけど)もいらないし、佐渡先生=高島礼子もなんだかめちゃくちゃ中途半端。佐渡先生を仮に女性で行くならもっと上で美人が売りでない人、例えば柴田理恵さんとかの方が存在理由があった気がします。真田さんと斉藤が命を落とすシーンは「さらば宇宙戦艦ヤマト」から持ってきてます。ブラックタイガー隊の山本の死に際も同様に「さらば~」のパクリ・・・。アナライザーのトランスフォーマーみたいなのはなんですかね?そして最後のシーンはどちらかと言うと「宇宙戦艦ヤマト 完結編」のそれだと思いますよ。結局アニメのヤマトの台本を寄せ集めた結果がこれって感じで、脚本を書いたという感じではないです。

 結局のところ演技・・・低レベル(全員じゃありませんよ)、撮影&編集・・・雑、台本・・・雑でパクリまくり!・・・いいところ全くなしかな・・・。結局「実写化不可能」だったんだと思います。本来「宇宙戦艦ヤマト」と呼ばれる作品の「イイとこどり」をしようと思った結果、すべてが断片化されてしまったのとキャスティングのいい加減さですべてがブチ壊れてしまった典型的なケースでしょう。これを映画館で高いお金を払ってごらんになった皆さんは、かわいそうだと思います。最後に、デスラー総統の声は伊武雅刀さん、これはなんだかほっとした瞬間でした。