アレキ 「さあ今回はライアン・ホールがグレイ・メイナードにUFCでは珍しい判定勝利を手にした試合について」

ヒョードル 「寝技系はホールを見習えってのクソが。俺が認知症みたいに何度も言ってるように寝技の強い選手はスタンドでは大きめの蹴りをバンバン使って、相手が来たら引き込む。ホールのクオリティに関しては物足りないんだけどアレを言ってたんだよ。特にテクニシャンな日本人にはああいった戦術は合ってると思うしキャリアの浅い選手にはちらほらいるけど、逆に日本人だからこそ負けた時の声も気にしちゃうんだよな。負けた時ボロクソに言われるスタイルだから。だからその点“俺は俺だ”っていう人間が多い白人の方が今はああいうスタイルを見かけるんだよね。もちろんある程度のレベルまで行くと上を取れるようにレスリングにアジャストする必要もあるし、実はレスリング能力の方が高かったとかなら話は別だけどな。」

アレキ 「UFC-206のアンソニー・ペティスvsマックス・ホロウェイはどう見る?」

ヒョードル 「ホロウェイの判定勝ちとみる。ペティスはこれまでのように一発狙いの蹴りは同じ打撃系に読まれてしまって逆に中間距離のパンチで押される場面が多くなってるから、それを本人がどう認識しているか。ジャブやローを増やせるのかどうかだと思うんだな。ただ戦いって合理性を追求しているようで実は根本には選手個人の美意識の問題ってのが意外とあって、俺はこれまでのアンソニー・ペティスを見てきてこの選手は美意識の高い人間なんじゃないかと思ってるから、“いや俺はもっと速いミドルを打てるようにするんだ”とか思ったり新しい蹴り技を研究したりする方に走っちゃうんじゃないかと。前戦でチャールズ・オリベイラにミドルを効かせて勝っちゃったのもそれに拍車をかけちゃうんじゃないかと思うんだ。そうやって一つの事に力を注ぐのもいい事じゃないかって前文で触れたけど、でも同じく触れたようにレベルの高さの問題がこの二人のレベルになると関係してくるんだよ。俺はペティスは軌道修正できない、もしくは思ったとしても間に合わないと思う。対してホロウェイはスマートで賢い選手だよ。ペティスが中間距離で苦労していることは分かってるし実行してくると思うよ。ただ一発でも強いのが入ればホロウェイもダダ崩れする可能性も無きにしも非ず。以上」

アレキ 「だそうですぅ。」


ヒョロっとした体、相手を食ったような態度、派手な見せ技のようで実は緻密に計算された動き、そしてデビュー以来衝撃のフィニッシュシーンを目の当たりにする度に多くの人間がそれを感じたに違いない。“それ”とは第三のブラック――― つまりアンデウソン・シウバ、ジョン・ジョーンズに続く、三人目の天才黒人ファイターなのではないかと。二人に比べるとやや粗暴で田舎臭さは残るものの、余裕をかますスタイリッシュな試合内容は黒人種が一般的に抱く美的感覚に共通していると言える。

半身の構えから、殴りかかってきた相手よりひとつ早く踏み込んでの右ストレート、相手のタックルに合わせるために時に真上に飛び上がる膝蹴りなどお馴染みのカウンター能力は抜群で、それでいて寝技ではジェレミー・ホロウェイ戦で何気に難しい形から足首固めを極めており、それらの動きを見る限り天才と言っても過言ではない。しかしエヴァンゲリスタ・サイボーグにテイクダウンを奪われたシーン、フェルナンド・ゴンザレスにカウンター待ちを察しまれ攻めあぐむシーン、技を空振りした時に尻もちをつくシーン、立ちレスでややケージに押し込まれがちになったりといった場面がちらほら見られるのも事実で、未知数な部分も多い。

そして何より現時点においてビッグネームとの対戦がない。今後は組まれるであろうベラトールに移籍したローリー・マクドナルドとの戦いも含めて、果たして第三のブラックとして認知されるのか、正念場を迎えそうだ。
アレキ 「ONE-FCで青木が負けたな」

ヒョードル 「青木については肩持つわけじゃないけど久々の総合で試合勘が若干戻ってない印象を受けたというか、もっとミドル蹴った方が良かったと思ったんだよな。てか下からが得意な奴はデカい蹴りをバンバン使えってのな。まぁそれはそれとしてフォラヤンてのは日本で言うと廣田や横田クラスだと思うよ。勝って当然とまではいかないけど要注意っていう。青木って選手は寝技はトップクラスで大物食いもするけど打たれ弱さがアレな分、下位の選手にも取りこぼす可能性も高くなるってことだわな。

あとマラット・ガフロフは横田一則に勝った時に知った選手で、その時はスピードがないし技術もいたってオーソドックスだし何が強いのかよく分からなかったんだけど、いくつか試合を見ていくうちに分かったのは精神力が技術を下支えしているタフガイタイプなんだなって。パラメーター的にベン・アスクレンに非常に近いかもな。」

アレキ 「じゃあUFC-205の予想を」

ヒョードル 「凄いカードばかりだけど一番気になるのはワイドマンvsロメロだわ。おそらく両者とも打撃勝負に出ると思うんだがそうなるとロメロさんの何かが決まりそうな気がする(笑)。でも終始お見合い状態で判定もつれって気もする。

コナーvsアルバレスは難しいけど、ただアルバレスは長身相手に苦戦してる過去があるから、アルバレスが勝つには漬けるためにテイクダウン取れるかどうか、そこが勝負だろうな。

ウッドリーvsトンプソンも興味があるがこれはもっと分かんないや。お互いのことぼんやりとしかイメージできてないんだわ。一生懸命見るよ」

アレキ 「ではまた・・・」