Vol.42 Cloisters | 伊藤操のブログ

Vol.42 Cloisters

Cloisters  クロイスターズ


昨年の12月に登場した写真家のハビア・ゴメスさんのお気に入りのニューヨーク・スポットを紹介しましょう。ハビアさんに会った時に、私が心ひかれた彼の写真がクロイスターズの窓の写真だったのです。



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by Javier Gomez


「僕がクロイスターズを好きなのは、ここへ来るたびに、平和を感じ、インスピレーションを得ることが出来るからです。異次元に来たように感じ、自分の中の高いレベルに行けるような気がするのです。今は存在していない宗教的なミステリアスな時代を思い起こすことができます。庭で写真を撮ったり、本を読んだり、友達と過ごしたり、美しさに感謝出来る場所です」 (www.javiergomezstudio.com


クロイスターズは私も大好きなスポットですので、さあ、これからみなさんと一緒にクロイスターズを訪れてみましょう。



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クロイスターズはメトロポリタン美術館の別館で、中世美術を展示しています。クロイスターズとは回廊のことで、この建物は5つの中世の回廊と南フランスの修道院の遺跡を移築したもので、美術品だけでなく、この建物もとても荘厳な雰囲気で見る価値が十分です。
場所は、マンハッタンの北上でフォート・トライヨン・パークの中にあります。ハドソンリバーに面したこのパークは緑と花がたくさんあり、ここがマンハッタンかと信じられない静けさです。



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長い石の階段を上がると、タイムスリップしたように現実を忘れてしまいます。さあ、中世のヨーロッパの世界にはいって行きましょう。


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by Javier Gomez


修道院の建物の特長は窓にあるような気がします。質素で敬虔な生活をする修道僧たちが、窓から見える世界を天国と感じたのではないでしょうか。



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この窓の向こうは空なのですが、なんだか天国に通じる道のような気がします。
この美術館の見どころはやはり、なんといってもその名のとおり、回廊、クロイスターズです。



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 by Javier Gomez


この回廊に座っているとても詩的な気分になり、こんな短歌を作りました。
“回廊(クロイスターズ)の光と影が語りけり、過去も未来も一瞬の夢なり”


また回廊に囲まれた庭とハドソンリバーを見渡す庭には、鳥の声がし、天使が舞い降りて来そうです。



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こんな俳句を作りました。
“神々と、鳥の声する、クロイスターズ”


一角獣のタペストリーも有名です。



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この一角獣のシリーズはロックフェラー財団が寄付しました。こうした美術館が充実しているのも、財団やお金持ちの寄付によるところが大きいのです。
高い天井のホールやマリア像を見るだけで心が落ち着きます。



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私がこの美術館が好きなのにはもう一つ理由があります。この美術館を有名にしたアイボリーの十字架です。この十字架は謎に満ちた不思議な十字架ですが、これをクロイスターズ美術館が手にいれたことで、ここは世界的に有名になったのです。この十字架を手にいれるまでのスリルに満ちた物語が書かれているのが、「謎の十字架~メトロポリタン美術館はいかにして、世紀の秘宝を得たか」(トマス・ボーヴィング著)という本です。
15年ほど前にこの本を読んで謎の十字架に会いに行ったのが、クロイスターズとの出会でした。今日も謎の十字架はクロイスターズで大切に展示されていました。



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なんだか自分の十字架に再会したようなうれしさがこみ上げてきました。
一角獣や謎の十字架を見て、回廊のカフェで食事をして、時が止まったようなクロイスターズでゆったりと過ごすのは、とても贅沢です。



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このような祈りに似た時を持つことは大切だと実感しましたが、その素晴らしさが皆さんの心にも届きますように・・・・・・