Vol.33 Bridal Designer 1 Mika Inatome
Bridal Designer 1 Mika Inatome
ブライダル・デザイナーのミカ・イナトメさん
ニューヨークのファッション業界では年2回4月と10月にブライダル・ウィークというのがあります。4月にはオスカー・デ・ラレンタやベラ・ワング、キャロリーナ・ヘレラなどデザイナーが秋のドレスを発表します。
そんなブライダル業界で活躍している日本人デザイナーを2人紹介しましょう。一人目はミカ・イナトメさん。実は私は彼女とは昔、一緒にフランメンコを習っていたのです。今回、10数年振りに再会しました。生き馬の目を抜くニューヨーク・ファッション界でブライダル・デザイナーとして20年のキャリアを積んできたミカさんは昔と変わらずにとてもチャーミングです。
「あっと言う間に20年もブライダルのデザインをしてきました。初めは桂由美さんのニューヨークラインを手掛けて、15年前に自分のブランドを始めました」
彼女のブランド名はMIKA INATOME
。
ダウンタウンのショールームでは、シルク100%の上品なセクシーさを漂わせたシンプルなデザインのドレスを制作しています。
今年の秋の作品をみてみましょう。
レースのほっそりとしたシルエットのドレス。
ウェディングドレスは後ろ姿もポイントです。トレーンを引いたドレスはいつでも人気があります。
同じドレスのストラップをこんな風にもアレンジできるのがうれしいですね。
式とパーティで雰囲気を変えることができます。
動きのあるデザインが得意なミカさんらしいダンスシーンでも映えるデザインです。
ミカさんはイタリア製の靴もデザインしています。
「米国のウェディングは花嫁のダンスも注目されています。そこで、履きやすく動きやすい靴が必要です。ビーチウェディングやガーデンウェディングも多く、ヒールでは砂や芝生に埋まってしまうので、ウェッジソールのほうがいいですね。足首をリボンで結ぶと安定感もありデザイン的にも可愛いので、人気があります」
昔、私と一緒にフラメンコを習っていた時にも、踊る時には、足はどのような動きをして、どのように見えるのかを観察していたそうです。私は振付を覚えるだけで精一杯だったのに、ミカさんは踊っている時もデザイナーとしての意識を忘れていなかったのです。
米国の花嫁は4つのSomething を持つと幸せになるといわれています。
“Something New, Something Old, Something Blue, Something Borrow”
新しい物、古い物、青い物、借りた物。ミカさんはデザイナーとして出来ることとして、靴にブルーでステッチをいれて花嫁の幸運を祈っているのです。
ドレスは米国の店や日本、カナダにも卸していますが、ショールームで注文を受ける場合は、4回のフィッティングを行います。
フィッティングの時はデザインのことだけでなく、神経質になっている花嫁の相談にも乗り、まるでセラピストの役割も果たしているようです。
でもそんな苦労も忘れるのが、花嫁からのウェディングの写真をそえたサンキュー・レターです。もう何千通もあり、すべて保管しています。
「この手紙と写真は私が仕事をしてきた証であり、誇りであり、喜びですね」
どんな仕事もお金のためだけでなく、人に感謝されてこそ、やりがいを感じるものです。ミカさんの優しさと真面目な仕事ぶりが評価されて、彼女のサロンがThe Knotという一番大きなブライダル・サイトで、ニューヨークのベストブライダルサロンに選ばれました。






