Vol.15 2010 Fall/Winter New York CollectionⅡ
2010 Fall/Winter New York CollectionⅡ
2010年秋冬ニューヨークコレクションレポートの第2弾です。
コレクションにはたくさんのカメラマンが参加します。
雑誌や新聞、そして、テレビ局のカメラマンなど、ひとつのショーで多いときには、200人以上いるのではないでしょうか。
友人のカメラマンのランディさんは「場所を確保するのがまず大変、それから、1時間くらい立って待って、そして終われば、次のショーに駆けつける。すごい肉体労働だよ」と汗をかきかき、次の会場へと向かいました。
“中央には白いアクリルの舞台があり、その両側には、まるで花に群がるハチのようにカメラマンが並んでいる。舞台に舞う美しい花たちをとらえようと、舞台の両側で待機しているカメラマンは獲物を狙う豹のようにも見える”(伊藤操・著 「私をみつけて 」から)
最近はカメラマン席が舞台の両側ではなく、突き当りの正面に移動という変化はありますが、カメラマンたちの必死の格闘は今でも変わりません。
そして、最近は女性のカメラマンが増えました。
またショーの会場の外には、モデルたちやおしゃれな編集者を撮影しようと待ち構えているプロのカメラマンや一般のカメラマンもいて、大混雑です。
デジカメや携帯カメラが普及し、だれでもカメラマンになれる時代ですね。(そういう私もその一人ですが)。
ニューヨークで最も有名なカメラマンと言えば、ビル・カニングハムさんでしょう。
彼はニューヨークタイムズの日曜日版に“On The Street”というコラムの写真を撮り、原稿も書いています。
晴れた日はもちろん、雨の日も雪の日もマンハッタンのストリートに立ち続けてニューヨーカーを撮っています。
もう40年以上撮り続けているのではないでしょうか。
やはり、ビルさんはショーの前日に降った大雪の中でも撮影していたのです。
“Snowish”と題して、スタイリッシュなニューヨーカーは、雪の中でもブーツやコートの着こなしに気をくばり、傘でバランスを取りながら雪を楽しんでいると書いています。
彼の記事の内容はいつも的を射ているので、書き手の私などは焦ってしまうのですが、とても勉強になります。
ニコニコと品のいい笑顔を絶やさないビルさんに、みんな写真を撮られたがるので、彼の写真はいつも素晴らしいショットです。
先日もバーニーズの前で彼が写真を撮っているので、「ハイ、ビル!」というとにっこりとほほ笑み返してくれました。
だいぶ前のこと、彼にインタビューしたいと申しこんだのですが、断られました。
「僕は注目されるのが好きではないし、写真を撮るのは好きだけと、撮られるのは苦手だから」というのが理由でした。
アメリカ人には珍しいなんと控えめな人でしょう。
インタビューを断られたのはビルさんが初めてです。
ラルフ・ルッチのショー会場で彼を見かけました。
なんと、ビルさんはデジタルカメラではなく、フィルムで撮影しているのです。
フィルムを巻き戻す時もビルさんはニコニコと嬉しそうです。
彼の姿を見ていると、本当に写真を撮るのが好きなのだなと感じます。
いつまでもあんな風に好きな仕事をニコニコと続けられるのはとても素敵ですね。




