入居後の空き家対策――メディカル・ケア、不動産会社と連携(耳寄りな話) 2016/02/19 | OVERNIGHT SUCCESS

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入居後の空き家対策――メディカル・ケア、不動産会社と連携(耳寄りな話)

 

 介護大手のメディカル・ケア・サービス(MCS、さいたま市)は介護施設に入居後、空き家となった持ち家を有効活用するサービスを始めた。親会社の不動産会社と連携し、空き家の売却や賃貸を仲介。入居費用に充てられる。昨年施行された空き家対策特別措置法により、固定資産税が最大6倍になる場合もある。空き家の流通を促しながら、入居者の安心感を高める。
 MCSは2015年11月に子会社オリーブライフ(さいたま市)を設立し、空き家活用を提案する事業を開始した。
 MCSは認知症の要介護者を受け入れるグループホームや有料老人ホームを全国約250カ所で運営し、約5000人の入居者を抱える。介護施設に入居するとそこが「終のすみか」になり、持ち家が空き家になりやすい。空き家は防災や衛生、治安面などから社会問題化しており、介護施設の入居者が対応に悩むことも多いという。
 15年12月に入居者の家族を対象に実施したアンケート調査では「空き家となった家の管理や手入れができない」「入居後の自宅の荷物の整理ができない」といった声が寄せられた。これを踏まえて実際に空き家に困っている入居者や家族を抽出。空き家の有効活用の提案を16年1月から進めている。
 同社の親会社、三光ソフランホールディングス(東京・中央)は、不動産販売のほか住宅リフォーム、賃貸仲介などを手がけ、本業の強みを生かす。
 空き家の有効活用に向けてはグループ会社と連携しリフォームや建て替えなど入居者の希望に応じて対応する。MCSの斉藤美早輝シニアコンサルタントは「住宅としての活用だけでなく、更地にしたのちコインパーキングとして活用することも可能だ」と話す。購入や賃借を希望する人も探し、マッチングまで引き受ける。
 空き家の売却や賃貸が成立すればMCSが手数料を得るという成功報酬型のビジネスモデルだ。空き家の処分に困っていた入居者の安心感を高めることにもつながるが、不動産の処分・活用だけと言い切れない側面もある。
 介護保険制度では、介護が必要な高齢者は原則1割~2割の負担で公的介護サービスを利用できる。ただ有料老人ホームやグループホームなどの施設介護では、家賃に相当する居住費や食費などの生活費も発生する。合計でかかる費用は月額20万円を超えることは珍しくない。また入居一時金と呼ばれる初期費用として、数千万円単位のまとまった額を求められることもある。
 これに対し、厚生年金の平均受給額は月15万円程度。退職金と年金だけでは安心した老後を過ごせるわけではない。空き家が活用できれば、「入居者も収入を得られ、それを元手にして介護や生活費に充てることができる」(斉藤シニアコンサルタント)というわけだ。
 MCSはさらに、昨年5月に施行された、「空き家対策特別措置法」が空き家活用を後押ししそうだとみている。
 市町村が倒壊の恐れなどがある空き家を「特定空き家」に指定すれば、一定の手続きを経ると固定資産税が最大6倍になる。空き家所有者の負担増につながりかねないため、有効活用を望む高齢者が増えそうだ。MCSは初年度で30軒の空き家を有効活用する目標だ。(新井惇太郎)
【図・写真】メディカル・ケア・サービスは有料老人ホームなどで多くの高齢者と接点がある