狩猟シーズン。猟師たちはこの時期に一気に稼ぐ。この近辺には多数の猪(しし)が生息しており、増えすぎて人里にまで降りてきて農作物を食い荒らしていた。中には人に襲いかかる物も。「これは害獣駆除がメイン。その余りを頂くってワケ。猪狙いだけど、熊だっていいし、キジもいいなぁ。そうだ、鹿なんてのもアリだな。鴨もな。」日本版の「ジビエ」である。そんな彼らが山に入り、寝泊まりするために建てられているのが「他方屋(たほいや)」と呼ばれる番小屋だ。期間中にはこの「他方屋(たほいや)」を拠点にしながら猟をする。「パンッ!」「パンッ!」銃声が鳴り響く。「おっ、早速誰か獲物見つけたな。」主に銃を用いるが、それ以外にも「罠」を仕掛ける事もある。「ワナ、仕掛けてもシシとかクマは頭いいからな。なかなかかかってくれねぇんだよ。」人と獣の化かし合い。そう簡単には仕留める事は出来ない。「アイツらも必死だかんな。オレらに食われるために生きてる訳じゃねぇ。そりゃ、命狙われそうになったら、威嚇もするし牙も剥く。気を抜いたらこっちが一撃で倒されちまう。」大ベテランの猟師でも暴れ狂う獣の前では無力だ。「たまに誤射もあるからな。あれはこえーよ。」「獲ったどー!」仲間の猟師が成果をSNSにアップしている。「おー、これは結構デカめのシシだ。幸先良いスタート切ったな。オレも負けてらんねぇ。」他方屋の中で支度を済ませ、いざ出陣。「さぁ、行くべ。オレはそんなに欲張らない。いきなり大物なんて期待してねぇよ。まずはオレの腕が錆びついてねぇか試運転しねぇとな。勘も鈍ってたらマズいし。」猟師は穏やかな口調ながら、言葉の端々に自信を覗かせる。「これで儲けようとは思ってない。あくまでも道楽よ。合法的に銃ぶっ放せるからな。スカッとするぜ。ワナや網にきれいに引っ掛かってくれた時も爽快だな。」

「経験豊富なハンターが銃、罠、網を携えて山に踏み込む。怪物クラスのターゲット相手に一騎打ち。小物相手にガックリもする。他方屋の中で準備万端。作戦を練る。捕らぬ狸の皮算用?さぁて、獲物をどう料理しよう。上手く捌いて美味しく食す。クセが強くて獣臭い。一日中歩き回って疲れたら、他方屋の中でたっぷり休養。また明日。」※たほいやには別の意味もあります。今日もあなたに幸あれ。続く。