やれやれ……(村上春樹風に)何て日だ。今日は1年で1番「昼が長い日」だっていうのに、僕はこんなに長い間暗闇を経験するなんて。突然、頭に強い衝撃を受けた。もちろん、何が起こったのか分からなかった。それはもう、「ガツン!」とね。それで意識を失って一気に記憶が飛んで頭が真っ白になった。えっ?それじゃブラックアウトじゃなくて、ホワイトアウトじゃないかって?ううん、その後視界が真っ黒になって悪夢を見ているみたいに闇落ちしたから、「ブラックアウト」だよ。皮肉だよね。太陽がこれでもかっていうくらいに照りつけてるのに僕だけ得体の知れない、出口の見えない暗がりの中をウロウロしてたんだから。でさ、そういう時に気分を盛り上げたいなと思っても無理なんだよね。全然テンション上がらない。無理すると容易に「似非(エセ)ポジティブ」になる。明るい歌なんて唄えないよ。だから、暗めのバラードとか琴線に触れまくるブルースを聴きたくなるし、歌いたくなる。幸せでいっぱい、楽しくて仕方ない。そんな時は心弾む様な明るいメロディーの曲が似合う。けれど、少しの光も差さない時は徹底的にその暗さを受け入れるんだ。無理に克服しようとしない。なかったことにしない。闇は闇として認めちゃうんだよ。「あー、今自分は闇落ちしてるんだな」って。そうすると暗闇にも目が慣れて、割と周りの事が見える様になる。相変わらず、口ずさんでるのはブルースだよ。情感たっぷりに歌い上げればムードにピッタリ合うし。夜は夜のままじゃ終わらない。陰極まれば、陽となる。

「外の明るさに反比例して僕が彷徨うのは暗いだけの世界さ。救いようのないどん底を這い回れば、そんな場所さえ天国に思えてくるから不思議な物だよ。こんな世界じゃアップテンポの歌は似つかわしくないよ。哀調を帯びたメロディーに悲惨で残酷な歌詞を載せて。とことんまでブルースを謳(うた)いなよ。出来る限りの大声で。売れ線狙いのポップソングより、アウトローなブルースの方が心に沁みるから。今の僕の心を震わせるのは唯一無二のブラックアウトブルース。そこから生まれる色は黒(ブラック)と青(ブルー)を混ぜた黒青(ごくじょう/極上)色さ。」今日もあなたに幸あれ。続く。