本邑健矢(もとむら・けんや)14歳。公立中学校2年生。自分では「勉強が出来る(と思っている)」「運動も得意(と思っている)」「女の子にもモテる(と思っている)」が実際にはそんな事はなく、全てが平均か、それ以下。いわゆる「厨二病」をこじらせていた。「オレは特別なんだ!それなのに、どうして周りのヤツら特別扱いしねぇんだよ!」健矢はイライラを募らせていた。とそこへ中年男性。「オッサン、誰?」「私かい?私はアドバイザー。健矢君、自分の事特別だと思いたいんだよね?今、地球の人口が約80億人。その中で君だけが特別だと主張して、残りの全員が『異議なし』『そうです。あなたは特別です。』と満場一致だったら、その時は間違いなく君は特別な存在になるだろうね。キリストやブッダ、いや新興宗教の教祖さまみたいにね。けど、君以外の人も例外なく自分の事を特別だと思ってるし、思いたいんだよ。ただ、こうやって言葉や文字にすると幼稚だろ?だから口にしないだけなんだよ。80億人が一斉に自分は特別なんだと言い始めたら、健矢君、君は特別でも何でもなくごくフツーになってしまう。君が特別扱いされないのにはそういう理由もある。それにまだ若いからな。他人に認められる実力がない。まぁ、口だけ番長って事だな。」「うるさい!本当のオレはこんなもんじゃない!本当の自分はどこか別の所に居るんだ。これから探しに行くんだよ!」「おー、自分探しってヤツか?これも厨二病あるあるだな。今、私が君の肩をポンポンと叩いてる訳なんだが、それじゃ私が触っているのは一体誰なんだ?◯◯年、▲月▲日生まれ、◯◯県◯◯市出身。☓☓中学校2年■組。血液型B型。△△座。左利きの本邑健矢君じゃないのか?この体から幽体離脱でもしてじぶんを探しに行くのか?じゃあ、その間留守になったこの体はどうなるんだ?持ち主は君じゃないのか?」

「年齢に関係なく、誰だって自分は特別な存在でありたいと思う物。自分探しなんてバカらしいと思いつつ、もしかしたら違う自分が見つかるんじゃないかと周囲をキョロキョロしてみたり。スピリチュアルの世界では一人一人が特別で尊い存在ですなんて言うけれど、イマイチ、ピンと来てなかったり。量子力学の世界ではパラレルワールド(並行世界)は存在すると言われていて、複数の自分が同時に居るらしい。でも、そんな実感ないや。中学生が厨二病になるのは当たり前。中年以降でも厨二病にはなりますよ。ちうにびやう、バカにしてたら、己も立派なちうにびやう。」今日もあなたに幸あれ。続く。