最近のわたし、ちょっと変だ。ちゃんと寝てるのにとにかく眠い。睡眠時間だって8時間くらいのはず。それなのに、眠くて眠くて仕方ない。休みの日なんかずっと寝てて、気が付けば丸一日寝てたなんて日もザラ。「これ、なんかの病気かなぁ……」検索してみると、いくつかの病名らしき物がヒットしてちょっと怖くなった。「病院とか行った方がいいのかなぁ……」「大丈夫!それ、病気じゃないから!」「うわっ、びっくりした。」急に声がしたので心臓が止まるほど驚いた。わたしが恐る恐る声がした方を振り向くと、そこには「わたし」が居た。「驚かせちゃってごめん。わたしは平行世界(パラレル)のあなたよ。今、眠くてたまらないんだよね?それ、エネルギー調整だから。」「エネルギー調整?」「そっ、あなたが次のステージヘ行くには大量のエネルギーを消費する必要があるのよ。今のままじゃ全然足りない。だからね、エネルギーをうんと蓄えなきゃいけないの。その時にね体に少し無理をしてもらうの。多少の負荷がかかるわね。でね、一番エネルギーを蓄えやすいのが睡眠中なの。寝ている間に古いエネルギーを抜いて、新しいエネルギーと入れ替えて脳の方も記憶の微調整を行うの。人間って脱皮とかしないから見た目の変化って分からないでしょ?その分こうして内面から少しずつアプローチして変わってもらうのよ。大量にエネルギーを注ぐから症状としては眠くて眠くてたまらないって感じになるの。ホントにね、これだけ寝てるのにまだまだ眠いの?って自分でも信じられないくらい眠気が襲うのよ。その期間が過ぎたら普通に戻るから。」「そう言われてみれば、平行世界(パラレル)のわたしって何だかかがやいて見える。」「そうね、パッと見そんなに違いはないかもしれないけど、流れてるエネルギーが違うのよね。あなたにも是非体験してもらいたいわ。わたしの話、信じる?」「信じる。」わたしはもう一人の「わたし」が言った事に戸惑いはなかった。「こんな事もあるか?」とごく自然に受け入れられた。この異常な眠気は何かが終わって何かが始まる合図。わたしはこれから新しいわたしに変わるみたいだから、この事も前向きに捉える事にした。

「とにかく眠い。いっぱい寝ても寝足りない。充分寝てるはずなのにすぐにまぶたがくっつく。でも、悪い事じゃないらしい。蛹(さなぎ)が蝶になる様に、脱皮して体が大きくなる様にわたしにも変化が訪れてる。わたしが寝ている間に心と体は密かにモデルチェンジを行っているんだ。リニューアルの方がいいのかな?アップデート?何でもいいけれど。大きく何かは変わらない。少しの変容。重ねていけばメタモルフォーゼ完了。」今日もあなたに幸あれ。続く。