校庭に植えられた「染井吉野」この学校のシンボルだ。蕾がほころびかけている。「あー、この桜咲いちゃったら、ウチらお別れだね。」「そんな淋しい事、言うなよ!バラバラになったとしても一生会えなくなるわけじゃないんだし。連絡だって簡単に取れる。」「そりゃ、そうだけどさー。」と、そこへ「おい!聞いたか?あの桜の木、病気にかかって腐ってきてるから他の木に伝染しないように切り倒すんだってさ!」「えっ!」一同驚きの声。「あっ、だったらあの木無くなる前に記念に残しとこう!」「どうやって?」「まずは写真と動画に収めて、それを元に教室で黒板アートにするんだよ。もうこのメンバーで共同作業する事ってないと思うから記念になるはず。」「いいね!そのアイデア乗った。」こうして生徒たちは桜の木を色んな角度や距離で写真と動画に収めた。教室に入り、「共同作業」スタート。「大体完成図はこんな感じで。」「えっ、ムズくない?あたし、絵苦手だからな。」「大丈夫、そのパートは俺が描く。こっちの描きやすい方、頼む。」「ここはもっとこうした方がよくね?」「我ながら、上出来。」「やっぱ、アンタ画伯だね〜さすが!」楽しみつつ、悪戦苦闘しつつ、黒板には一本の桜の木をモチーフにした「力作」の「黒板アート」が描かれていく。描いては消して修正。納得がいくまで何度も。顔や体にチョークの粉が着いている生徒も。「黒板消し」と「クリーナー」もフル回転だ。「あの桜はさ、切り倒されちゃったら二度と見れない。この黒板アートだってせっかく何時間もかけて描いてもすぐに消さないといけない。でも、その儚さがいいのかな。」「これだけ写真と動画があればいくらでも見れるじゃん。実物は消えても俺らの心の中にはいつだって、満開の桜、咲いてんだろ?」

「誰かが笑うと、世界のどこかで誰かが代わりに泣く。僕にもたまに順番がくる。あなたが思い切り、笑顔でいるのも、色んな事を乗り越えたその後に回ってきた事。いつからだろう、その笑顔さえも怖いんだよ。優しさに目をそらしたからきっと、強がりばれたよね。咲かないでよ。咲かないで。桜の木、揺れる。窓の外に吹いた風が暖かすぎるよ。いわないでよ、いわないで。さよならじゃないから。桜色が彩る頃、僕らはまだここにいれるかな。」原曲WHITEJAM(ホワイトジャム)「咲かないで」※オリジナルの歌詞は短いが、ネット上では「後続」の歌詞が多数存在。今日もあなたに幸あれ。続く。