「そうか、やっぱりこの人だったんだな……」薄々は見当がついていたが、その事実を認めたくはなかった。「どろぼう」が奪うのは「金品」だけではない。「ハート」を奪う「ハートどろぼう」が居れば、「エネルギー」を奪う「エネルギーどろぼう」だって居る。彼は最近「ある人」と会って話したり、SNSでやり取りをすると、決まって体調が悪くなり、どっと疲れた様な状態になっていた。「僕、仕事はそれなりにハードですけど、家に帰ってすぐに寝たりしないんです。でも、最近はバタンキューみたいになって。で、よく考えてみるとあの人と会った後だったり、SNSでやり取りした後なんですよね。調子が悪くなるのって。」最初は気のせいだと思いたかった。だが、徐々にその「頻度」が増してくると、「これは何かある」と思わざるを得なかった。「その人とは知り合って3年か4年くらいになりますね。ホントね、つい最近までは一緒に居て楽しいし、SNSでも友好関係だったんですよ。だけど、あれ?ビミョーに話がズレて噛み合わないな?とか、なんかタイミングが合わないなって事が多くなって来てたんですよ。一つ一つは小さな違和感ですけど、段々見過ごせないくらいになってました。で、先日決定的な事がありまして……確かに僕にも悪い所はありますよ。でも、一方的に悪者扱いされたら、誰だって気分良くないですよ。」それからその人と物理的に距離を取ってみた。するとどうだろう。一番変化があったのは体調面だ。「自分でもビックリしました。疲れやすかったのが疲れにくくなって、前より元気になりました。それに物の考え方もポジティブになった気がします。人を疑うのって正直イヤですよ。誰かを犯人扱いする訳ですから。疑われる方だっていい気はしないでしょう。」だが、相手も最初から「エネルギーどろぼう」だった訳ではない。どうやら、彼の方がせっせと気前よく相手に自らの貴重なエネルギーをプレゼントしていた様だ。「それに気付いた時は自分は何て愚かな事をしてたんだって思いました。あげるつもりもなかったし、向こうだってもらうつもりはなかった。でも、こちらがあげるって言えば向こうには断る理由がないから遠慮なくもらっときますよね。邪魔にならないから。」その後、「エネルギー漏れ」がなくなった彼は滞っていた流れがスムーズになり、全ての運気が上向きになったそうだ。

「突然の不調はエネルギーどろぼうの仕業かもしれませんよ。思い当たる人は居ませんか?その人と距離を置いたら調子が良くなるかもしれませんよ。無駄にエネルギーを浪費しなくなったので循環が正常に機能し始めました。でも、誰かにエネルギーを奪われるという事は、自分も知らぬ間に誰かのエネルギーを奪っているのかも?好調の影にも不調の影にもエネルギーどろぼうの存在あり。奪ったり、奪われたり。」今日もあなたに幸あれ。続く。