「あの~、僕って、人間に見えますかね?」目の前に居る「その人」から摩訶不思議な質問を受けて、あなたはキョトンとした。「えっ!まぁ……そう見えますけど……」「あー!やっぱりそうか……そう見えますよね……そっか、そっか人間に見えちゃうんだ……」「あなた、人間じゃないんですか?じゃあ、一体何者なんですか?」「僕ですか?それが自分でもよく分からなくて……見た目が人間なもんでみんな人間として相手してくれるんですけど、人間じゃないんですよ。」あなたは「その人」をアブナイ人だと感じ、これ以上関わりたくないとその場から足早に逃げようとしていた。「えぇ、分かります……分かりますとも……皆さん、そうやって僕の前から消え去って行くんですよ。だって自分でも自分が何者か分かってないんですからね。どこからどう見ても人間そっくりですからね。でも、僕は人間じゃないんです。何と言っていいのやら……ほんとにごめんなさい……   」             「ねぇ、僕は人間じゃないんです。ほんとにごめんなさい。そっくりにできてるもんで、よく間違われるのです。僕は人間じゃないんです。じゃあ何かと聞かれましても、それはそれで皆目見当もつかないのです。見た目が人間でなもんで皆人並みに相手してくれます。僕も期待に応えたくて、日々努力を惜しまないのです。笑顔と同情と謙遜と自己犠牲、朝起床に優しさと優に1億は超えそうな必要事項を生きるのです。しかし、まったくもって、その甲斐もなく、結局モノマネはモノマネでしかなく、一人、また一人と去ってゆき、人間が剥がれ落ちるのです。大切な人を幸せにしたり、面白くもないことで笑ってみたり、そのうちどんな顔の自分かわからなくなる始末です。僕は人間じゃないんです。ほんとにごめんなさい。そっくりにできてるもんで、よく間違われるのです。僕は人間じゃないんです。ほんとにごめんなさい。じゃあ何かと聞かれましても、それはそれで皆目見当もつかないのです。僕もいつの日にかホントの人間になれるんじゃないかなんて、そんな夢を見ていました。夢を見てました。ほどよくテキトーに生きながら、ほどよくまじめに働きながら、全然大丈夫なフリしながら、たまに涙流しながら。手に入れた幸せは忘れるわ、自分の事ばかり棚にあげるわ、怒らせ、苛つかせ、僕は一体誰ですか?どうせこんな事になるのなら、はじめから僕の姿形を人間とは遥かほど遠いものにしてくれりゃよかったのに。誰かのために生きてみたいな。生まれた意味を遺してみたいな。この期に及んで、まだ人間みたいなことをぬかしているのです。人間として初歩中の初歩を何一つとしてできないままによくもまぁ、そんな気になれたもんだ。怒るのもごもっともです。僕は人間じゃないんです。ほんとにごめんなさい。そっくりにできてるもんで、よく間違われるのです。僕も人間でいいんですか?ねぇ、誰か答えてよ。見よう見まねで生きてる僕を許してくれますか。僕は人間じゃないんです。ほんとにごめんなさい。そっくりにできてるもんで、バッタもんのわりにですが。何度も諦めたつもりでも人間でありたいのです。」人間になれますかねぇ?なれるといいんですけどねぇ……原曲RADWIMPS「棒人間」日本テレビ系ドラマ「フランケンシュタインの恋」エンディングテーマ。今日もあなたに幸あれ。続く。