アナベルとクララは大の仲良しだ。アナベルは少し「天然」が入った女の子で日頃から不可思議な言動をする。そのアナベルに冷静にツッコむのがクララの役目だった。アナベルは全ての面で個性的で変わっているのだが、特に気になるのはいつも余裕満々な所だ。クララはアナベルが焦ったり慌てたりする所を見た事がない。常に悠然としている。「ねぇ、アナベル。あなたっていつも余裕があるけれど、どうしてそんなに落ち着いていられるの?」アナベルはこう答えた。「だって、私にはあのお方たちが付いているから。あのお方たちは常に私を守って下さるわ。だから焦ったり慌てたりしないのよ。」「あのお方たち……ねぇ」アナベルが不思議な事を言うのは毎度の事だが今回はいつもに増して意味が分からなかった。しかしそんなクララもアナベルの言っていた意味を嫌でも知る場面に出食わした。アナベルとクララが歩いていると、建築中の建物から足場が飛んで来そうになった。このままでは二人に直撃する。「危ない!」クララはとっさに避けたが、アナベルが気になった。「ア、アナベル?」恐る恐る目を開けるとアナベルの周りには謎の三人の男たちが現れていて、一人は足場をキャッチし、一人はアナベルを抱きかかえて安全な場所へ移動し、もう一人は辺りの様子を注意深く見回していた。「大丈夫ですか?お嬢様。お怪我はございませんでしょうか?」「えぇ、おかげさまで。あなた方が間一髪の所で救ってくれたのでかすり傷一つ出来ていないわ。」「えっ!あのお方たちってこの人たちの事?」クララは言葉を失くす。アナベルの秘密を知ってしまったからだ。見てはいけない物を見てしまった感じがした。                                                                           「ご主人様がピンチになると、どこからともなく駆けつける。赤い目と赤い髪をした守護騎士団。その厚い忠誠心で最後まで守り抜きます。それがナイトの役目。どんな困難が立ちはだかっても、取り除いて見せましょう。悪魔よ、攻めて来るならかかってこい。どんな事をしてでもご主人様には指一本触れさせぬ。この程度の悪魔なら我らが軽くひねって差し上げよう。」今日もあなたに幸あれ。続く。