「モトリー・クルー」                                               「地球」という星に生まれ、「国」で育つ。そこには多種多様な動植物が混在している。時には協調して、時には敵対しながら。「バベルの塔」はそんなバラバラな価値観を面倒だから一つにまとめてしまえという発想で造られた。だが、その目論みは上手くはいかなかった。杉村も今は比較的良い人間関係に恵まれていると言えるだろう。そんなに気が合わなかったり、ソリが合わない人は周りには居ない。同じ会社の社員同士でありながら、全く面識がない人物も山ほど居る。部署が違ったり、年齢が離れているとあまり接点がない。会社組織に限らず、私達は必ず自分以外の人と共に生活していかなければいけない。そこには初対面にも関わらず、まるで長年の友人の様に共感出来る人が居たり、言動の全てが受け入れられないと感じる人まで様々だろう。煩わしい思いをする事だってある。「こんなに辛くて面倒なら、いっその事一人で生きていきたい。」と願いたくなる事もある。しかし人間は完全に一人では生きていけない。他者の力を借りなければ「自立」出来ないという矛盾を常にはらんでいるのだ。以前、「宇宙船地球号」という概念が流行った。地球を大きな一つの宇宙船に見立てて、そこに存在する命ある物は全てが「乗組員」だとする考えだ。だから、皆で力を合わせて生きていこうと。「正直さ、こんだけ色んな人種とか、生き物居るから、めいめいが好き勝手にやったら収拾つかないよな。自分と隣の人が気の合う人だったら最高なんだけど、こればっかりは選べないじゃん。だから何とかコミュニケーション取ってお互いに気分よく生きていきたいよな。同じ船の乗組員として、長く航海していかなきゃなんないんだからね。」現在、人類だけで80億近くの人数が居る。それ以外の生物を足すと、この宇宙船はかなりの積載量になっている。キャパオーバーで沈没しない為には知恵を絞って進んでいかなくてはならない。この宇宙船の未来は私達乗組員一人一人の意識にかかっている。「We   are   Motley   Crew」我々は雑多な乗組員。今日もあなたに幸あれ。続く。