脚本・演出 竹田哲士
シミュラクラとは、三つの点が集まった形を人間の眼は顔と認識するように脳がプログラムされているという事らしい。それを題材に、よくここまでストーリーを膨らませたものだと感心した。
Chaoticな展開でも決して難解ではない。むしろ絡まった糸がほぐれていくのが心地よい。本質的には人間の意識に関する深い問いかけもあるのかな、とも感じた。
初日という事でネタバレ回避、内容について詳しくは書かない。
推しの廣瀬響乃の誘いで観劇。彼女は以前もこのカンパニーに出演していて、座組にもよく馴染んでいた様子。
コント的な前説が独特で、観客を飽きさせない努力に好感。これがあるからか、開場直後の早い段階から客席が埋まる。20年続く劇団で74回も公演を重ねるだけの事はある。
観客の顧客化を意識している様子は買い。一点だけ画竜点睛を欠いたのは終演後のキャスト面会。ロビーがカオス状態で、通路をふさぐ観客の誘導に制作の金切り声が残念。退館時間が気になるなら、キャストへの徹底が必要だし、面会はロビーではなく原則客席とした方が良かったように思えた。制作の誘導に聞く耳を持たない観客もどうかと思うが。