#タージマハルの衛兵 | 新宿信濃町観劇部日記時々野球とラグビー

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兵庫県出身。還暦直近の年男。文学座パートナーズ倶楽部会員。

プレビュー初日以来。その後、この作品も含めた演技に対して亀田佳明に紀伊國屋演劇賞が。ここ数年、彼の出演した作品を欠かさず観てきてその充実ぶりを知っていたから、我がことのように嬉しい。もちろんこの手の賞に対して様々な考えがあることは承知しているが。

毎年の事ながら師走にはいい作品が多い。今年も例外ではない。個人的には「タージマハルの衛兵」で130作品目、これで今年は大ラス。最後の最後に最高の作品と出会えた。

プレビューと何が違うか、どこに手を入れたか、それはわかったような、わからなかったような。でもそんな事は関係ない。一時間半強の濃密な時間。回想シーンから現実に戻る際のフマユーン(成河)の緩やかな表情の変化。鳥の群れの羽ばたき音が客席後ろから舞台に移る。そしてフマの姿がフェイドアウトするエンディング。舞台美術、音響、照明、衣装と、スタッフワークの見事さも相まって、表現する言葉が見つからない感動が心を満たしてくれた。

改めてラジブ・ジョセフの本の構成が素晴らしいと思った。ことぜん、個と全体というテーマが色濃く反映されている。多くの人はフマユーンを自身に投影しつつ、バーブルの奔放さに共感する。フマユーンですらそうなんだ。きっと。

演劇は総合芸術、改めてその素晴らしさに酔いしれた師走の夜だった。