新宿信濃町観劇部日記 六月まとめ MVP/MIP | 新宿信濃町観劇部日記時々野球とラグビー

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兵庫県出身。還暦直近の年男。文学座パートナーズ倶楽部会員。



6月は18作品19公演。前月に続き秀作揃いで、内容的に濃いものが多く、満足感と共に劇場を後にするケースが殆どだった。

毎度の事だが、ここでは印象に残った作品や演劇人を紹介するので、記載されないから評価が低いのではない。またMVP/MIPは、過去取り上げた人は原則対象外にしている。

今月のピックアップ。やや多めだがご容赦を。

1.山山/忘れる日本人(地点) :松原俊太郎作、三浦基演出
「地点」の独特の作風に初めて触れた。これは衝撃であり、感動でもある。好みは分かれるだろう。初心者には勧められない。観客側も勉強してみたいと思える後味、ハマると抜けられない麻薬的な香り。

2.極楽(江古田のガールズ):山崎洋平作・演出
地点とは真逆。とにかく観客を楽しませる事に専念した作品。頭を空っぽにして観る楽しさは江古田のガールズならでは。紀伊國屋ホールのデビューは、生演奏や歌唱・ダンスも含めた総合エンタメとして、このハコでも江古田流を貫ける実力を示した。客演で美女を集めたのも◎。座布団投げ最高。

日本文学盛衰史(青年団):高橋源一郎作、平田オリザ演出
青年団メンバーの確かな演技力も印象的だが、脚本・演出の素晴らしさが特に光った。文豪の葬儀(精進上げ)の場面が四場、それを題材にこれほど盛り上げられるとは。

4.琉球の風(劇団東演):中津留章仁作、松本祐子演出
テーマの根底には政治的な要素が潜んでいるとは思うが、露骨なイデオロギーの押し付けでなく、「関心を持ち」「自分の耳目で確認する」事の重要性を再認識させられる。演出家が脚本に手を入れ、キャストとの密なコミュニケーションを通じて、わかり易く納得感があるメッセージが伝わって来たと思う。

5.ユニコン物語(新宿梁山泊):唐十郎作、金守珍演出
テント芝居の魅力を存分に体験できる。花園神社境内スペースまで活用し、奥行きの豊富な舞台。大鶴義丹運転の加速するバイクの登場に度肝を抜かれる、ドローンを舞台で観たのも初めて。

MVP most valuable players

大野香織:「妖怪博士」も含めて文学座キッズシアターの広報部長として精力的にブログで情報を発信。キャストの素顔を紹介し、身近な雰囲気を醸成した。

得丸伸二:「探偵物語-福島編-」作・演出・照明・音響・美術を単独で行い、またスタッフワークもこなす超人的・精力的な姿に感服。再生エネルギー関連知見も。

MIP most impressive players

佐古真弓:「ふたたびの日は何色に輝く」スタイリッシュな和装の演技に感動

尾比久知奈:「肉の海」客席を圧倒する歌唱力

千田美智子:「シュレディンガーの猫・銀河鉄道の夜」朗読劇ではなかなかお目にかかれないユニークさ

櫻井章喜:「鴉893たちの行方」衝撃的な、あまりに衝撃的な。観た人にはわかる。

柴田美波:「モロッコの甘く危険な香り」攻撃的な台詞回し。いや、確かな技術というべきか。(作品としても素晴らしい。キャストそれぞれが持ち味を出した。代表として彼女を挙げた)

今年も半分過ぎて104公演を観劇した。かなりのハイペースだが、後半は7〜80本くらいに落ち着くかな。

さて、7月は14公演を予定。稲葉賀恵のProject Navakov 「ヘッダ・ガーブレル」(イプセン)や、久々の吉野実紗出演「消えていくなら朝」(蓬莱竜太)、ナイロン100℃「睾丸」(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)、モダンスイマーズ「死ンデ、イル」(蓬莱竜太)、on7「その頬、熱線に焼かれ」(古川健)は特に楽しみだ。