電光掲示(モニター)の案内に従い診察室近くの中待合に移動すると
しばらくしてマイクで呼ばれました。(先生本人のお声です)
財前教授のようなギラついた傲慢な感じのお方ではありませんでした。
でも演じるなら唐沢寿明でしょうか。(もちろんキャラを変えて)
なぜなら目力を感じたので。。。

症状からネットで調べて食道アカラシアを疑ったことや、
こちらで新しい治療法がおこなわれていると知ったこと、
地元の医院に相談して私が希望するこちら宛ての紹介状を
書いてもらったことなどをお話ししました。
内視鏡クリニックの結果シートも受付時に提出してあります。
井上先生はこのプアな情報量の患者に普通に、
「症状としてはアカラシアの典型です。胸の痛みはありませんか?
頂いた内容では診断できませんので(今日は)これ以上先に進めませんね。」
「今日検査しちゃいます?車で来ました?」
とおっしゃいました。

おーっとそういう展開は予想していませんでした。
「口から内視鏡入れたことないので不安です」
名医にしょうもないセリフを言うビビり野郎。
「車でなければ鎮静剤使うので大丈夫ですよ。朝食は?」
「ふた口程です」
「では大丈夫でしょう。やりますか?」
「はい」

井上先生はすぐ内視鏡室に電話して臨時の検査を入れて下さいました。
「今日は一日ここにいるのでまた後ほど会いましょう」
やはり当たり前ですが、アカラシアと疑うに足る客観的な証拠(画像等)が無いと
話が進まないですね。

内視鏡室へ行き、指示通りに着替えて、胃の泡を消す薬(?)を飲み、
喉の麻酔ゼリー(?)を3分間喉に置き、順番を待ちました。

呼ばれると左側を下にして横たわり、指にセンサーを付けて、
右腕に血圧測定のベルトを巻き、鎮静剤を点滴します。
「初期のアカラシアは内視鏡では分からない事もあるのですが
やってみますね」と頼もしいお言葉です。
鎮静剤がヒリヒリしますと言われましたが、特にそう感じません。
「血圧が低めですね」というコメントを生まれて初めて聞きました。
なんとなくぼんやりしてきましたが、
緊張で判断力が鈍っているだけのような気もします。

挿入されると、ビビり野郎は強烈に嗚咽しました。
上体を痙攣させ、時に硬直し、鼻水噴射し、たぶん口からも噴射
していたと思いますが、もう強烈な嗚咽としか言いようがありません。
気付いたら終わっていたとか、意識朦朧としているうちに、
では全然ありませんでした。何で?。。。 怖いよう。
「血圧低いので車椅子で移動しますね」
マジですか。身体に異変でも起きたのだろうか、、、
その後、安静用の椅子でふわっと気持ち良い眠りに落ちました。

一時間後、消化器センターに戻り、順番を待って先生と再会です。
先生の指示でアカラシアに詳しい方が検査を担当されたそうです。
「アカラシアの特徴が出ていますね」
「程度は初期から中期ですね」
「POEMで80~90点が出せると思います」
点数のイメージは素人にはピンと来ないところもありますが、
早期に手術するほど良好な結果が期待できるとのご説明でした。
「POEMについてはネットなどで調べられました?」
「はい」
「ではこちらを読んでおいてください」と先生たちがまとめられた
資料を受け取りました。実績やリスクについては口頭でも説明があり
私には必要十分かつシンプルなやり取りでした。

「POEMの成果は実績が示しています」
このお言葉に集約されていると思いました。

質問しようと思っていたことが資料に書かれていました。
トンネル入り口のクリップは自然に外れて排出されると。
付きっぱなしではないのですね。安心しました。

この日に手術日を決めることもできるとの説明でしたので
先生のスケジュールと私の都合の合う日を確認し決めて
しまいました。井上先生とはここでお別れです。
引き続きアカラシアチームの若い先生と打ち合わせし
症状や生活習慣(飲酒等)の入力がおこなわれました。
手術前検査と手術についての説明も受けました。
続いて看護師さんから手術前検査の手順と入院手続きについて説明を受けました。
終わったのは午後6時頃だったと思います。
初診で手術までの段取りが決まってしまいました。

いったん帰宅して都合を確認してから別途日程を決めるのももちろん可能です


POEMに期待して北部病院で受診されるケースが多いと思いますし、
先生方はアカラシアを熟知されています。
私は病歴も浅く治療歴も無いのでおまかせで身を委ねる感じです。
しかし患者さんの病歴・症状、思いはさまざまだと思いますので、
受診される方それぞれが御自身で納得されて進んで頂けるよう願う次第です。