北海道・関東ブロック合同予選大会 がありました | 電動車椅子サッカークラブ YOKOHAMA BayDream

電動車椅子サッカークラブ YOKOHAMA BayDream

電動車椅子サッカー
神奈川のチーム YOKOHAMA BayDream です

監督です。
長文ですが、もし興味がありましたら読んでください!

2015年5月23日(土) 第21回日本電動車椅子サッカー選手権 北海道・関東ブロック合同予選大会、この日の事は一生忘れないだろう。

2月の下旬頃、YOKOHAMA BayDream 監督に就任し、まずは予選大会を突破し選手権大会へ出場する事を目標に掲げた。
練習場所不足にあえいでいたチーム状況を改善しようと、分担していた体育館の予約を一本化して引き受け、週1回、月4回以上の練習場所確保を目指した。
選手によっては、仕事の忙しさや介助者の手配が難しいため練習回数を増やされても困るとか、練習回数よりも質が大事だという意見もあったが、全国レベルのチームはほとんど毎週4時間は練習しており、私自身も昔在籍していたFINEではルールは今のサッカーと違えど、介助者というのも確立されていない時代からほとんど毎週体育館へ通い、4時間練習して全国制覇をしてきたのだと説得をした。
そして、内容は言えないが横浜連絡会で切磋琢磨し合っている Yokohama Crackers や、2014-2015関東代表チームの練習からヒントを得て、独自のアレンジをし YOKOHAMA BayDream なりの練習メニューを考案するなど、練習の質の向上を図った。

監督就任から予選大会までの期間は、たった3ヶ月足らず、その短い期間でチームのために一体なにができるか?
予選大会で強豪チームに勝ち、選手権への道を開くためにはなにが足りないのか?
私は悩み、試行錯誤する日々を過ごした。
しかし、その答えはすぐに出た、3月21日(土)にトッケイセキュリティ平塚総合体育館で開催された電動車椅子サッカー第18回ドリームカップに、観戦と視察を兼ねて出かけた時にである。

決勝戦 Yokohama Crackers VS ナンチェスター ユナイテッド鹿児島 この一戦に懸ける両チームの想いは凄まじいものがあった。
特にこの試合を制し、初優勝を成し遂げた ナンチェスター ユナイテッド鹿児島 背番号10 東 選手の気迫は圧巻であった、まるで身体全体から彼の気持ちがあふれ出るように、オーラを放っていた。
確かに試合に勝つには選手の技術、電動車椅子の性能が大事な要素だ。しかしこの決勝戦のように選手の技術が拮抗し、電動車椅子の性能では ナンチェスター ユナイテッド鹿児島 がストライクフォースの台数は少なく、鹿児島からの遠征で参加選手人数も4名ギリギリという状況に関わらず、勝利を収めている。
そうだ、気持ちや情熱こそが勝利を引き寄せるという事を私は思い出したと同時に、改めて気が付いた。私も選手時代、気持ちだけは誰にも負けたくない思いで、能力の何倍もの力を発揮できたような感覚を持った事が、ごく稀にあった。
これだ、気持ちを高めていく事ならどんな短期間でも可能で効果的なはずだ。私の監督という役割に対する使命感に大きな火が灯った。

それからというもの、チーム運営がスムーズになるように今までの何倍も携わり、練習場所をたくさん取ってチーム活動を増やすため、色々な体育館を調べ、時には使えるようになるまで担当者に食い下がってみたり、体育館の予約抽選も慎重なスケジュール管理で各施設をフォローし合うように申し込みをしたり。
他にも、ミーティングの代わりにディスカッションできる通信ツールを使用して、チームメンバー同士のコミュニケーションを活発にするなどをし、外部にはSNSやブログなどでチーム情報を拡散するなど、チームの雰囲気や選手たちの気持ちを高めていくために、生まれて初めて努力をしました。

練習試合はあまり出来ませんでしたが、強豪 レインボー・ソルジャー の皆さんの胸をお借りしたり、チーム練習には他チームの選手にゲスト参加してもらって、練習メニューの充実とライバル心の刺激に貢献してもらいました。
練習のない日や平日には、秘密ですが、ある方法でチームの戦術理解度の向上と技術的特訓をし、横浜連絡会の練習では Yokohama Crackers というお手本のような強豪チームと毎月2回ぐらいは試合をさせてもらい勉強の日々を過ごした。

難しかったのが、YOKOHAMA BayDream から2014-2015関東代表チーム に招集された選手と招集されなかった選手との連携が取りにくかった事。
関東代表練習に選ばれた3名がいってしまうと、同じ日のチーム練習には選手が多くても5名になってしまい、紅白戦はおろか、ポジション確認も完全にはできず、基礎練習しかキッチリできないのだ。
関東代表組がレベルの高い選手たちの中で練習する事はとても貴重な素晴らしい経験になり、悔しい思いをしてきたとしても、その反省を思いに変え成長する事にもつながってチームのためになる。
しかし、チーム練習の質だけを見るとそれは低下し、関東代表組と、そうでない選手との差が広がってしまうのではないか。そういった不安な気持ちをすべて選手全員に告白し、一緒に悩んだ事で、チーム練習も気持ちで関東代表練習に負けないつもりで取り組んでくれたり、ブロック選抜大会中止による関東代表組の気落ちにも全員で励ます事ができたと思う。

監督としては決して良い監督とは言えないであろう、自分はプレーヤーの時になにもできていなかったくせに、一つ一つのみんなのプレーに、ここがダメだの気持ちが入っていないだの、時には本当に勝ちたいのか? など、とにかく口うるさく怒る事が多かった。

いよいよ6日後に予選大会本番を控えた5月17日(日) 横浜連絡会の練習で予選大会本番では同グループリーグで対戦する Yokohama Crackers との練習試合があった。
YOKOHAMA BayDream としては本番同様の気合いを込めて、勝つ一心でぶつかっていった、だがその日の試合内容は目も当てられないもので、これまで指摘してきた弱点ばかりを突かれ、一矢報いる事もなくボコボコにボロ負けしたのだ。

私は心底焦っていた、やはり私は間違っていたのか、今さら不安がチームに伝わってもいけないので、選手にはわからないように悩んだ。
そこで私は憤怒する事にした、やる気が無いなら予選大会に出る意味なんかないんだ、いつ環境や体調が変わってサッカーができなくなるか分からないんだぞ、悔いの残るようなプレーだけはするな、と。
最後は怒っているつもりが、YOKOHAMA BayDream というチームと選手一人ひとりを心底から応援し、激励していた。
最後の立て直し、当日までの毎日は人生史上初の忙しさであった。コーチのナイス過ぎるアシストも受け、なんとか形にはしたつもりである。

そして迎えた2015年5月23日(土) 第21回日本電動車椅子サッカー選手権 北海道・関東ブロック合同予選大会、私の緊張は選手時代を上回っていた。

一試合目の相手は、昨年冬の大会で引き分けた油断できないチーム、BLACK HAMERS 戦、少し控室でミーティングをして臨んだ。
結果は非常に良く、6-1と快勝、説明して指摘をしていた事がほとんどできていて、モチベーションもかなり高かった、最後に選手交代に失敗し失点を許してしまったが、少し気持ちが引き締まった。

二試合目、Yokohama Crackers 戦、先日はボコボコにされたが、その試合を元に対策を決定する事ができていた。
試合には勝つ事ができなかったが、弱点を突かれた失点こそあれど、たとえラッキーだと言われてもみんなの勝ちたいという強い気持ちが生んだ1得点があり、2-1という接戦で、試合内容も対策をキッチリこなし、負けずに攻め返していくみんなの姿には、たくましさを感じる事ができた。

そして運命の三試合目、私の古巣でもあり、長年 YOKOHAMA BayDream の選手権出場の道を阻んできた強豪 FINE 戦である。
実は予選大会を突破し選手権大会へ出場する事を目標にしていたが、この FINE を倒し、3位で予選大会を突破する事が今回の目標であった。
試合結果は、まるで夢を見ているようであった。あの FINE を相手に、立ててきた対策をすべてこなすかのような徹底した守備、思い切りのいい攻撃での多数の得点、終わってみれば7-0という、これまでにない大勝利だった!
私は興奮のあまり終始大きな声を出してベンチから指示や応援をし、後半途中からは自然と涙があふれ出ていた。終了の笛が鳴ると「やったーーーーー!」と大きく叫んでいたほど嬉しかった。

予選突破の喜びも束の間、選手の疲れもピークに達し、私の体力も消耗している中、すぐに3位決定戦、ウイニング・フェニックス 戦に移った、だが気力だけはまだ残っていた。
試合結果は3-0での勝利、試合内容は疲れからか少し勢いはなかったものの、失点なしで見事勝利し、無事3位での予選突破を成し遂げる事ができた。

選手みんな、本当にお疲れ様。口で指摘をするのは簡単だが、実際にその反省を正し、プレーに反映させるのは大変な事、それを今回はできていたのが、本当に凄いです。
心からありがとう!応援してくれた方やサポートしてくれた方にも、感謝します。

これに満足する事なく、選手のみんなにはもっともっと高みを目指して欲しいし、チームも選手権常連チームになり、全国制覇ができるよう、私も尽力して頑張りたいと思います。

いくぞ! ベイドリーム!