みっちゃんの惑星 (58)
その時だった。
右腕が破壊された直後、今度はまるで右腕に宿っていた力が乗り移ったかのように、左腕がぴくりと動き始めた。
一か八かだっ―
私は心の中でそう叫ぶと、左腕を、即座に右の脇腹辺りまで伸ばし、地面の上を懸命にまさぐった。
すると手が固い物に触れた。
これだ―
そう。
それは神像だった。
私の脳裏には、ある光景が甦っていた。
お姉さんと神秘の石―コアアースを烏山へ探しにいった時、神像が地面に埋もれていたコアアースを引きよせたのだ。
それで私は気がついた。
神像は、コアアースを探知し、引き寄せる力も持っているのだと。
だから私は賭けたのだ。
その神像の力に―
神像を掴んだ私は、一気にそれを宙にかかげた。
すると―
神像に、強い衝撃が加わり、私の左腕が揺らいだ。
見ると、神像は黄金色の光に包まれ、その胸にはコアアースが磁石のように、ぴたりと張り付いていた。
しめたっ。
私は心の中で叫ぶと、それをすぐさま、ガイランドルの方へと向けた。
そして念じた。
砕けよっ、ガイランドル―
と同時に、コアアースから黄金色の光線が放たれ、ガイランドルの胸を直撃した。
「ぐあっ」
と、ガイランドルは叫び声を上げ、まるで大木が折れるように、直立したままの姿勢で、背中から仰向けになって倒れた。
やったか?
私は状況を確認しようと、再び体を動かしてみた。
すると、左腕に戻った感覚が、そのまま上半身へと広がっていくかのように、私の両肩がぴくりと動き始めた。
どうやら、麻痺していた感覚が元へと戻り始めたようだ。
私はゆっくりと両腕で地面を支え、体を反転させると、倒れているガイランドルを見つめた。
と、その胸には大きな風穴が開き、全身からは黒煙が噴き出していて、両目からは完全に光が失われていた。
今度こそ奴は、完全に機能を停止したようだった。
それを見て安堵の息を洩らすと、次に私は両足に力を込め、立ち上がろうと試みたが、まだ足には感覚が戻っておらず、それは叶わなかった。
それで私は、そのまま地面を這いずり、建造物の壁を背に倒れている、みっちゃんの元へと進んでいった。
すると、お姉さんが逸早くみっちゃんの元へと駆けつけてきて、彼女の両肩を掴んで揺すり、懸命に呼びかけた。
「みつ子、みつ子、しっかり」
しかしみっちゃんは固く目を閉ざしたまま、ぴくりとも動かなかった。
(つづく)

