みっちゃんの惑星 (47)
「やばいっ」
心の中でそう叫んだと同時に、兵士たちのライフル銃が一斉に火を吹いた。
ガイランドルの側にいた私とお姉さんは、避難する間もなく、銃撃にさらされることとなってしまった。
「もうだめだっ」
私は観念して、目を固く閉ざした。
と同時に、バババババッと、鼓膜が破れるかと思うくらいの凄まじい爆音が、周囲に響き渡った。
だが不思議だった。
私の体は痛くもかゆくもなかったのだ。
一体、私たちはどうなってしまったのか?
不思議に思い、そっと目を開けると、眼前には信じられない光景が広がっていた。
何と、私たちを取り囲んでいた兵士たちが、皆倒れていたのだ。
うつ伏せになって倒れている者―
仰向けになって倒れている者―
その態はさまざまだったが、よく見ると皆の体のあちこちから、小さな泉が湧くように血液が吹き出していた。
どうやら逆に、彼らの方が銃撃にさらされたようだった。
一体何が起きたのか?
私はすぐには理解できなかった。
すると、丁度私の正面の位置に、うつ伏せに倒れていたリーダーが、突然這いずりながら前進をし始めた。
どうやらまだ息があるようだった。
そして腰にぶら下げていたフォルダーから、右手でゆっくりと拳銃を抜くと、ガイランドルに向けた。
「く……くそう。裏切り者め」
リーダーは苦痛で顔を歪めながら、憎々しげにそう言い放つと、引き金を引こうとした。
と、その時だった。
ガイランドルの全身から、黄金色の光が放たれると、ドーム状に周囲を包み込んだ。
次の瞬間、リーダーの拳銃から、バンと火薬の弾ける音と共に、銃弾が発せられた。
だが銃弾は、乾いた金属音と共に、そのドーム状の光のバリアに阻まれ、前方の地面へと弾き飛ばされてしまった。
リーダーはすぐさま、何発も銃弾を連射したが、全て光のバリヤに弾き返され、私たちには掠りもしなかった。
すると、銃弾を使い果たしたリーダーは、「くそう」と投げやりに言い、拳銃をこちらに投げつけた。
そして今度は、地面に落ちていたライフル銃に手を伸ばした。
その時だった。
周囲を包み込んでいたバリアが突然消滅すると、ガイランドルの両目から青い光線が放たれ、リーダーの額を貫いた。
「ぐはっ」
リーダーは一言発すると、空を見つめたまま、がくりと地面に顔を横たえ、絶命した。
私はその時になって、初めて状況を理解した。
兵士たちの発した銃弾は、ガイランドルが放ったバリアに阻まれ、跳弾となって逆に彼らを襲ったのだ。
だがガイランドルがなぜ、私とお姉さんもバリアで守ったのか?
そんな疑問が、一瞬私の頭の中をよぎった時―
その答えは次の瞬間、苦痛と共に、私の身に跳ね返ってきた。
突然ガイランドルが私に近寄ると、右腕を伸ばし、冷たく固い手で、私の首をぎゅっと掴んだのだ。
そしてそのままゆっくりと私を宙に持ち上げると、首を掴む手に、さらに力を込めた。
首を握りつぶされそうな激しい痛みと、呼吸器を圧迫されたことによる息苦しさ―
私はその二重苦に襲われ、ただ手足をばたつかせながら、もがくことしかできなかった。
すると奴は、私の顔を自分の口元まで持ってくると、問いかけた。
「言え。『あの場所』ってのはどこにある?」
その時私は悟った。
奴はこれをゆっくりと聞き出すために、私たちを生かしておいたのだと―
だが、次第に意識が遠のき始めた私には、問いかけに応える余裕などなかった。
その時―
お姉さんがガイランドルに飛びかかり、「放せ、放せ」と叫びながら、右拳で何発も体にパンチを入れた。
するとガイランドルは「ふん」といまいましげに声を発すると、いきなり私の首から右手を放した。
と、私はそのまま落下し、地面に横倒しになった。
そして息苦しさのあまり、激しくせき込み始めた。
だがお姉さんの姿を見るや否や、私はせき込みながらも、果敢にガイランドルの体に飛びかかっていった。
そして同じように、右拳で、そのボディに何発もパンチを放ち続けた。
だがその冷たく重厚な鋼鉄のボディに、その程度の攻撃が通じるはずもなかった。
ガイランドルは私になど目もくれず、今度はお姉さんの首を右手で掴むと、そのまま宙に持ち上げた。
「うぐぐっ……」
お姉さんは苦痛で顔を歪め、あえぎ声を上げた。
するとガイランドルは、私の方を向き、言い放った。
「おい。もう一度聞くぞ。『あの場所』とはどこのことだ? そしてそこには何がある? 言え。言わんと、こいつの首をへし折るぞ」
(つづく)

