食糧自給率の将来的施策
現在、日本におけるカロリーベースの食料自給率は約38%であり、先進国の中でも低い。また、輸入農産物の生産に必要な農地は、我が国の農地面積の約2.5倍と言われている。
以前から、食料自給率の低下が社会問題として取り上げられていたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、低食料自給率の社会問題が如実に現れている。このような状況の中、新型コロナウイルスの拡散防止のため、各国が輸出入に規制するようになった。
そのため、供給できる食品が少なくなり、様々な食品が割高となっている。新型コロナウイルスの終息の目途が立たない現状を考えると、今後の状況によっては更なる食品の高騰が予想される。このような状況を改善するために、将来的施策に関する個人見解を大きく3つに分けて論じていきたい。
1つ目は、耕作放棄地の利用を増やすことである。耕作放棄地とは、「過去1年間耕作されたことがなく、今後数年の間に再び耕作する意思のない農地」と農林業センサスにおいて定義されている。
つまり、耕作放棄地とは、「耕作が行われず、近いうちに耕作栽培の予定もない」放置されている農地のことを指す。現在、日本の農地は、年々減少し続けている。耕作放棄地が増加している主な原因は、農業従事者の高齢化や後継者不足による農業人口の減少が挙げられる。
そのため、農業に携わる人たちが減少し、耕作放棄地の増加が顕在化している。また、耕作放棄地が増加するため、国内の農業生産が減少し、食料自給率の低下を招いている。食料自給率の低下は、農地問題以外も関係しているが、輸入依存に繋がっているのは確かだろう。
このような状況を改善するため、耕作放棄地の発生防止だけでなく、耕作放棄地の利用を促していくべきだろう。現在、行政・地方自治体だけでなく、民間企業などが耕作放棄地の利用を支援している。
例えば、地方自治体の施策では、「農地中間管理機構」を全都道府県に設置し、中立な立場で農地の貸し借りを円滑に進めている。この施策では、様々な事情から耕作放棄地を抱える所有者に対して、「農地中間管理機構」が耕作放棄地を借り受ける施策である。また、新規就農希望者や農業参入希望者に対して、農地の貸し付けを行っている。
つまり、「農地中間管理機構」は、農地を専門に扱う不動産業者のような事業形態である。しかしながら、日本におけるカロリーベースの食料自給率が低いという事実は、十分な支援ではないことを示しているだろう。
今後、日本におけるカロリーベースの食糧自給率を上げるため、耕作放棄地の利用者増加が必要不可欠だろう。また、耕作放棄地の利用者の増加に伴い、行政や民間企業が耕作放棄地の発生防止に取り組むべきだろう。
2つ目は、昆虫食を含めた様々な栄養補給方法の導入である。昨今、世界的な人口増加だけでなく、中流層の増加により、莫大な食糧が必要となっている。 2019年に国連が発表した『世界人口推計2019年版』によると、現在77億人の世界人口は、2050年にほぼ100億人に達すると予測されている。
しかしながら、環境汚染や地球温暖化だけでなく、気候変動の影響により、食糧や水資源の確保については深刻な問題となっている。また、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化した場合、各国の輸出入の規制だけでなく、国内の農業生産の低下により、食糧危機に陥る可能性があるだろう。
そこで、国連食糧農業機関(FAO)が食料問題対策の一つとして推奨しているのが、世界的な昆虫食の導入である。また、国連食糧農業機関(FAO)は、動物性たんぱく源の需要が拡大し、数億頭の家畜が必要になると予測している。しかし、数億頭の家畜を飼育するためには、広大な土地を確保しなければならない。また、大きな家畜を飼育するには、莫大な飼料や水が必要不可欠である。
一方で、昆虫を飼育するために必要な土地は、「大きな家畜を飼育するよりもはるかに狭くて済む」と言われている。また、食べた飼料を家畜より効率的にタンパク質に変換するため、少ない投資で多くの成果を得ることができる。
今後の日本では、世界的な食糧危機に備えて、昆虫食の導入を推進していくべきだろう。また、新型コロナウイルスなどの不測の事態も想定し、昆虫食を含めた様々な栄養補給方法を導入していくべきだろう。
3つ目は、農業従事者への支援強化である。現在の日本では、全就業者のうち第三次産業に就業している人口の7割程度と非常に高い。また、第一次産業の比重が低下し、より収益率の高い第二次産業や第三次産業の比重が高まっている。
かつては、第一次産業を基盤とする日本も、高度経済成長により第二次産業の比重が増え、さらに現在は第三次産業の比重が高まっている。このような状況を改善するためには、農業従事者の支援強化が必要不可欠だろう。例えば、新規就農者などには、支援制度を確立した上で農業法人への就職を促していくべきだろう。
また、農業従事者への支援を強化することで、効率的かつ安定的な農業構造の確立を目指す必要があるだろう。今後、前述のような支援強化が実現すれば、日本の食料自給率も上昇していくだろう。
上記の記述では、将来的施策に関する個人見解を論じてきたが、低食料自給率の弊害を認識していない人が多いと感じる。今後、日本の食料自給率を上げるため、一人ひとりが食料自給率の低下という社会的な課題を認識していくべきだろう。また、食料自給率の低下という社会的な課題に関係ないと考えている人達も、様々な側面から支援していくべきだろう。