今日は愛月先生のYoutubeの動画を題材にして書きたいと思います。
「夢を現実にしたいけど諦めるべき?」という質問に、6番・「恋人たち」のカードが出たお話です。(エラーで動画が貼れなかった)
6番・恋人たち
「恋人たち」は簡単に言うと、アダム(男性性・現実)とイブ(女性性・夢)がちょうどよくあるといいよ、というカードです。
アダムは親御さんや夫みたいな存在。イブは子供や奥さん。こんなふうに例えて説明してもらうと分かりやすいです。
そこで思い出したのが、昔買ったベストセラー、
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』 バルバラ ベルクハン (著)、 瀬野 文教 (訳) という本です。
その中に「積み木くずしの名人」という言葉が出てくるんです。
「積み木くずしの名人」に大事な夢を話さないこと、というようなことが書かれています。
作者のベルクハンさんの幼い甥っ子は、ベルクハンさんが積み上げた積み木を一気に崩す遊びが大好きなのです。
「積み木くずしの名人」は、はじめからそれとすぐ見分けることができます。それはまだおむつのとれない幼子か、もしくは、何でも否定的に見るだけでなに一つ建設的な提案のできない大人かのどちらかです。
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』バルバラ ベルクハン (著)、 瀬野 文教 (訳) より
でも、「積み木くずしの名人」はけっして悪い人たちではないこと、失敗する前に警告してあげようという、ある意味親切な人たちだとも書いています。
トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の仲間たち』にも、似たようなお話があります。
遊園地を作りたいという夢を、親戚のヘムル一族に大笑いされて絶望するヘムレンさんが出てきます。
しかし、だからといって、まったくのところ、その人たちがべつにわるいのではありません。その人たちだって、だれかがヘムルたちのおかげで一生をだいなしにしたというのをきいたら、心からかなしく思ったことでしょうね。それにまた、心の中のいちばんひみつなゆめを、すこしでもはやめにもらすのは、とてもきけんなことなんです。
『ムーミン谷の仲間たち』しずかなのがすきなヘムレンさん トーベ・ヤンソン(著) 山室静(訳) より
非現実的だ、世の中そんな甘くない、失敗するに決まってる。そういうことを言って夢をつぶしてしまう人たち。
でも、親御さんや夫がそう言うのは、たいていは良かれと思って。
アダムはイブを守るためにある。奔放なイブが傷ついたり危険な目に合わないようにするためです。
ベルクハンさんはコミュニケーショントレーナーという職種なのですが、ある集まりに参加した時、夢を語る学生さんが、参加者の一人の男にやり込められます。
コミュニケーショントレーナーなんて掃いて捨てるほどいるし、今後の見通しは暗い、生活できっこないと言うのです。
「すべてはますます悪くなる」という悲観的なメッセージには妙に現実的な響きがあります。そのために多くの人々は「積み木くずしの名人」の言うことを本気にしてしまうのです。
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』バルバラ ベルクハン (著)、 瀬野 文教 (訳) より
これからはますます悪い時代になるだろう、という彼の警告には妙な説得力があって、私も一瞬たじろいでしまい、あの若い学生などはすっかり勇気と希望をなくしてしまったようでした。まったくあの自信たっぷりのど迫力にはまいりました。
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』バルバラ ベルクハン (著)、 瀬野 文教 (訳) より
こういう人って動画サイトにもいますね。(-.-;)
誰も先のことなんて分からないのに、自信たっぷり。そして言いっぱなし。
この前言ってたあの件はどうなったの?と思うことがあります。(^_^;)
アダムの力は本来、建設的な危機意識であるべき。
リスクヘッジと、実際そうなるかは全く別問題なのに、ごっちゃになってはいけない。「まだ起きていないことは起きていないこと」です。
逆に、不安を煽るなと言って「起きていることを起きていないと言い張る」のは、現実逃避です。
作者のベルクハンさんは、「積み木くずしの名人」の迫力にたじろぎながらも、冷静に頭の中で分析しました。タロットで言えば「正義」のカードです。
自分はいったい今までどうやってコミュニケーショントレーナーとして生活してきたのか?ただの運か?預金残高は?今後の仕事のスケジュールは?
その結果、運などではなくこれまでちゃんと稼いできたし、今後の仕事の予定もいっぱい詰まっていることを確認したのです。
「私はそうは思わないわ。コミュニケーショントレーナーとして成功するチャンスはいくらでもありますよ」
こんなふうにして「積み木を築きあげる」のは私の得意わざの一つなのです。私は彼に、自分がどうやってこの道でご飯を食べているか、駆け出しのころ、どうやって最初の仕事にありついたかを話しました。そして、はじめはやっていけるかどうかとても不安だったこと、けれどもけっして飢え死にするようなことにはならなかったことも話しました。
すると「積み木くずしの名人」までもが、これを聞いてなるほどとうなずきました。注意深く私の話を聞いていた学生の表情もしだいに明るくなりました。それから私たちは昼食のあと、かなり長い時間おしゃべりをして、この青年にこれまで私がたくわえた知識と経験をありったけ話して聞かせました。私も駆け出しのころは同じように、仕事で知り合った多くの人々から好意的なサポートを受けたものです。ですから、いま私がこのようなサポートを他の人々にしてあげられることは、この上ないよろこびなのです。
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』バルバラ ベルクハン (著)、 瀬野 文教 (訳) より
このくだり、すごく好きなんですよね。
ベルクハンさんは具体的な「how to」を説明しています。不安でもコツコツ積み上げてきた現実感にあふれています。
起きるか起きないか分からない不吉な予言みたいな、言いっぱなしアドバイスとは全然違いますね。
もちろん、100%イブの望みが通ることは難しいかもしれません。
でもだからといって、0にすることはない。
半分でも、30%でも10%でもいいから、イブの希望を入れていくことはできる。
100%叶わないなら意味ないって、極端思考の完璧主義にならないこと。
最近ご時世的にも変革期なので、いろんな人がいろんなこと言いますけれど。
こんな時だからこそ、「恋人たち」みたいなスタンスは大切だな、と思います。