タロット16番、マルセイユ版では「神の家」、ウエイト版では「塔」。

これまで積み立てたものが崩壊するカード。

 

 

積もり積もったものが大きければ大きいほど、期間が長ければ長いほど、それが壊される時、そこに爆発的な「変身」のエネルギーが生まれます。

 

このカードのエネルギーのことを考えるといつも、

アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』第9話のキュゥべえを思い出します。

 

『魔法少女まどか☆マギカ』には、

「キュゥべえ」という、見た目はマスコットのように可愛らしいけれど、実は地球外生命体という、とんでもないモンスターが出てきます。

 

ちなみに、顔文字屋さんで検索したら、キュゥべえの顔文字がありました。

すごい!似てます!(笑) 

/人◕◡◡◕人\

 

(注)以下、物語のネタバレ含みます。


 

 

物語の中で、この宇宙人キュゥべえは、

人間の “感情エネルギー” を集めるために地球に派遣されて来ている、という設定です。

 

なかでも特に膨大なエネルギーになるのが、 

「第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移のエネルギー」 なんだそうです。

 

※「相転移」と言うのは科学用語で、同じものでも様態が変化する現象のことだそうです。

例えば氷→水→水蒸気になるときは、熱エネルギーの放出や吸収が起こるという、相転移とエネルギーの関係を、物語の設定に取り入れています。

 

この物語の上手なところは、対象を「第二次性徴期の少女」に絞ったところだと思います。

これ、すごく納得がいきます。

 

小さい子も大きな夢を描きますが、

なまじいろんな知識が身についているだけに、思春期の少女の妄想力はとどまるところを知りません(笑)

タロットで言えばまさにカップナイト。

 

イメージしてイメージしてイメージしまくっている年頃(笑)

そして、男子よりも女子の方が感情的な分、そのエネルギーは格段に大きいはずです。

 

思春期の少女は途方もなく大きな希望を抱くので、それが砕かれた時の絶望も大きい。

その落差のエネルギーを、キュゥべえは欲しいのです。

やっぱり、人間はプラスよりマイナスの感情の方が一気に強烈に出ることが多いので、集める方としては回収しやすいのでしょう。

 

宇宙人キュゥべえは、人間側からしたら、「悪魔」と呼ばれるような存在に近いかな?と思います。

魔法は決してタダではなく、自分のかけがえのない大事な物との等価交換で与えられる「魔」の力なのだということを、少女たちは知ることになります。

まさに、「悪魔に魂を売る」という言葉のとおりです。

だからキュゥべえは魔法少女を勧誘する際、「ボクと“契約”して魔法少女になってよ」と声をかけるのです。

アニメ史に残る名脚本だったと思います。

 

しかしそう思って考えてみますと、

魔法少女アニメや子供向けの戦隊ものドラマの中では、必ず悪の組織は“感情エネルギー”を集めています。

ダークパワーとか、暗黒エネルギーとかなんとか、言い方はそれぞれなんですけど。

「ふははは!いいぞ、もっと苦しめ!」などと言って、人間から負の感情を吸収するシーンって必ずありますね。

あんなにも古今東西のアニメやドラマがそう言うんですから、

本当にキュゥべえが言っているように “人間の感情エネルギー” というものは回収する方法があるのかも??・・・と最近は思ったりするんですけれども。

こんなことを言うと中二病扱いされてしまうでしょうか。(^_^;)

 

でも、逆から言えば、

「絶望から希望への変換のエネルギー」もあるんじゃないかな?と思います。

 

戦後の日本なんて、まさにそんな感じだったと思います。

私の祖父母は若い盛りを戦争に潰された世代でしたが、戦後、精一杯働いたそうです。

高度経済成長期には「モーレツ社員」なんて言葉もありました。

苦しい時代を生き残った運と、健康な体。

それプラス、ずーっとずーっと押さえつけられてきたものが解放されたときの爆発力。

 

長い間の戦争で、財産も自由も命までも脅かされて、全く人生を立てられない、
タロットで言えば「皇帝」できない状況が長く続いてきた後で、
突然「塔」を立てられるとなった時のエネルギーは、一体どれほどのものだったでしょう。

 


 

 

宇宙人キュゥべえは、人間の持つ「感情」の大きさに驚き、恐れてもいます。

キュゥべえたちはエネルギーを欲していて、「感情」を「エネルギーに変換する方法」を発明したのはいいけれど、肝心のその「感情」が自分たちにはない。

だからわざわざ地球くんだりまでやって来て、少女たちと「魂を売る」契約を結ぶのです。

 

そう考えると、「人間の感情」というのは「魂」そのものなんじゃないかな?という気がします。

 

タロットの「生命の木」のお話の中では、

  「ビナー」という、科学や知識の限界地点があります。

それより上の三角の部分は、誰も知りえない神の領域、深淵になります。

神の領域のことは、「分かった」と思ったらもう、「分かったつもり」なんだそうです。

 

人間がどうやって生まれたのか?(how) 

DNAとか、科学的なことは解明できても、

何で生まれたのか?(why)

は分からない。

入れ物の仕組みは分かっても、そこになぜ魂が入ったのか?は謎なのです。

 

宇宙の秘密を知っているはずのキュゥべえたちも、どうして人間に「感情」があるのか?どこからそんな大きな力が湧いてくるのか?は、分かっていません。

自分たちは生み出せず、外から奪おうとするのは、タロットで言えば15番「悪魔」に似ています。

 

人間の感情エネルギーの源は何か?

心はどこからくるのか?

それはタロット3番「女帝」のような、何もない所から生み出す力。

次から次へと湧いてくる、枯れることのない泉なのかもしれません。

ちょうど、カップエースのカードみたいに。

 

確かに人間は宇宙のことなんて何も知らないけれど・・・

でもね、キュゥべえ、

得意になってると、もしかしたら

「分かったつもり」なのかもしれないよ?