昔、結婚を約束した女性がいた。その女性とはサイパンで知り合い、遅れて知ったが旅行代理店の社長の娘だった。駆け落ち同然で交際は始まったものの、結果うまくはいかなかった。付き合ったときには既に婚約者がいて、婚約者がいるのは3回目くらいのサイパンへの来訪で知った。

 

当然、そんなことを知って受け入れるわけにもいかず、1度は別れを決意するもののお互いに惹かれ合っていてそのときは別れられなかった。3回目にサイパンに来る際、旅立つ日本のホテルで、実は婚約者がいて今から1週間後に結婚をする。でもあなたが好きだ。結婚したいみたいなことを言われた。

 

私は事情を察し別れられるかどうかもわからないまま断った。そうしたらホテルの33階から飛び降りて死ぬと彼女は言った。もう行くところがどこにもない。聞けば実家に書き置きを残してきたという。今からサイパンに行ってもいいかと念を押され私の心は波打った。

 

そこからがは苦悩の始まりで、楽しいこともたくさんあったが、我慢を強いられるツライ日々が続いた。結局彼女はその夜の夜行便でサイパンにやってきて、それから2~3日して彼女の父親から確認の電話がきた。父親は彼女がぶじでいさえすればそれでいい、そんなことを私に言った。結局、父親には嘘をつき通せず、彼女が今、サイパンにいることを正直に話した。

 

2週間くらいして彼女は日本に戻り、彼女は慰謝料を払って正式に婚約者と婚約破棄して、私は日本への帰国を決めた。2人での生活を夢見て、当初は幸せに暮らすはずだった。日本に戻り、免税店の本社勤務に配属が決まり、経理の仕事に就いた。でも長くは続かなかった。日本での暮らしが始まり、彼女は私との結婚前提で、長野県から横浜の叔父の家、戸塚に引っ越すことになった。

 

交際が続いて数ヶ月して、些細なことで喧嘩をするようになって彼女が元婚約者に会いに行ったことを虫の知らせで知った。実家に戻ったはずが家にはおらず、元婚約者の電話番号を教えてもらい、家に電話をしたら、彼女が電話に出た。

 

そこからはまた修羅場で、やがて2人の交際は呆気なく終わった。彼女は私に実家に行ってくると嘘をついて元婚約者に会いに行っていたのだ。2人はもう一度、一緒になろうと約束していたらしい。私は人間不信に陥った。愛が永遠には続かないということをやがて知った。わたしの書いた小説「アヤと過ごした夏」は、この話がもとになっています。

 

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