妄想バトルロワイアル

妄想バトルロワイアル

注意:このブログのバトルロワイアルは、完全なる妄想です。

Amebaでブログを始めよう!

暁井翔吾(男子1番)と大野愛砂磨(男子4番)はF-4の森林にいた。

「ここからは一旦二手に別れる。5時間後にまたここで合流だ。いいな?」

暁井が相変わらずの低くこもった声で言った。

「分かりました」

大野も無気力そうに言葉を吐いた。


二手に別れる理由。それは大野には分からなかった。





「残り30人」





河北と空端はしばらくの間休憩していた。

散々動き回っていたためバスケ部の2人でも体力が持たない。

それにバスケ部の中では比較的体力は無い方ではあった。

今年の4月に20mシャトルランを体育の授業でやらされたところ、河北が121、空端は109だった。他のバスケ部員の結果は大野が138、何葉川が140、笹林が147、神市に至っては163だった。ちなみにバスケ部以外の上位では、サッカー部の燃斗が118、雷斗、雪斗が117。日向が129。暁井は帰宅部なのに132までいった。


疲れたから休憩というのもあったが、クラスメイトの死にあまりにも衝撃を受けてしまっていたのも休憩の理由の1つである。






「残り30人」





佐藤真平(男子10番)は、F-5にて、稲口荘作(男子3番)の後をつけていた。

佐藤は身長が153cmと小柄なため、他の人に比べ見つかりにくいと踏んだのだ。

佐藤の武器は防弾チョッキ。初めに稲口を発見した時は尾行する作戦ではなかったが稲口の武器がロープと知り、自分の武器が役に立たないことから尾行する作戦に変更した。

佐藤は稲口が嫌いだった。稲口はイケメントゥエルブに入れそうなほど容姿が良いし、頭も良い方なのだ。入れなかった点はおそらく、真面目過ぎるからだ。生徒会の会計長という役割を持っており、さらに成績はほとんどが5。1つだけ4だったのは美術。そこだけならまだ良いが、休み時間にも勉強や読書。遊ぼうと誰かに誘われては話しかけるな、成績が落ちたらどうすんだ、などと上から皆を見ている性格が皆に気に入られず、今では話しかける者もいない。さらに運動音痴。そんな人がイケメントゥエルブに入れるわけがないだろう。

一方の佐藤は自分でも思うほどのひどい顔。短髪が似合わないがために肩まで伸ばした髪、細い目、そこからやけに離れた眉、大きな鼻、への字の口、頬のそばかすと、なんとも嫌な顔をしている。鏡を見るのも嫌がっている。

稲口が嫌いな理由、それは態度だ。皆を上から見ている感じと、それでいて容姿が良く頭も良い。そんな稲口が佐藤は前から嫌だったのだ。

だから決めた。どうにかして稲口をこのゲームの間にやっつけると。

再び怒りが湧いてきたところで稲口が急に「うわあ」と声を漏らした。

稲口の前に腹が赤く染まった石本幸枝(女子3番)が立っていた。石本は学校を出てすぐに河北に撃たれたのだ。河北が自分の身を守るために撃ったものが偶然当たってしまっていたのだ。しかし、河北はわざとではないし、稲口や佐藤は原因さえも知る由もなかった。

石本は稲口を見るや否や銃を構え、すぐに撃ち始めた。稲口がただただ蜂の巣にされるのを佐藤は見ているだけだった。なぜか佐藤はすっきりした。確実に稲口は死亡していた。ものの数秒の出来事だ。

佐藤は何気に石本に気があった。しかし、この容姿でこの背の小ささ。さらに石本は身長が高いので、相手にもされていなかった。

しかし、たった今佐藤は狂気じみた。

「今なら・・・幸枝を・・・」

変なことを想像した佐藤は気が付くと一目散に石本の元へ走って行った。心臓がバクバクする。まずは1回、蹴り飛ばしてやる。まずは、それからだ。

石本が目の前に迫った瞬間、耳が変な音に包まれた。

ぱんぱんぱんぱんという雑音。

それと同時に体が思い切り何度も殴られるような感覚に襲われた。みるみるうちに後ろへ倒れ込んでしまった。

撃たれたのだ・・・。

しかし、防弾チョッキを着ていたため全く体に痛みは無かった。そっと目を開け、見てみると・・・、ピクリとも動かない石本がいた。そして銃を持った男・・・、暁井翔吾がいた。

鳥肌が立った佐藤は息を殺して死んだふりをした。が、なぜかこちらに銃を向けている。

「起きろ」

暁井は確かにそう言った。

「生きているんだろ?大丈夫か?」

と優しく声をかけてきた。佐藤は一気に安心した。暁井はこのゲームに乗っていない!

「ああ、大丈夫だよ。ありがとう」

佐藤は気取った声でそう言った。

暁井は何か四角いものを見せてきた。

「これはレーダーだ。生きている奴の首輪がこれに察知されているんだ。だから見ろ、今、点は2つだろ?これは俺とお前を指している。つまりそこの稲口と石本は死んだってわけだ」

佐藤はきょとんとした。が、「な、なるほどー」と言った。

「だからな・・・」

暁井が1度息を吐いて、先程とは違う口調でこう言った。

「だからな、死んだふりなんかしてもバレるんだよアホが!!」

一瞬佐藤は暁井が何を言っているのか分からなかった。しかし、暁井が佐藤の顔に銃口を向けたことで分かった。


俺は、殺される


そう思った瞬間、佐藤は顔面を殴られる感覚に襲われた。そして、その一瞬のうちに佐藤のすべての能力が失われた。


暁井は少し笑みをこぼした後、その場を去った。





「残り27人」