1969年6月25日 | NWA世界王者でたどる各地の熱戦譜

NWA世界王者でたどる各地の熱戦譜

かつては各地のテリトリーを回り、地元のレスラーを相手に防衛戦を繰り広げたNWA認定世界ヘビー級王者。その世界王者の出場した興行の試合結果を見ながら当時のマット界を振り返ってみたい。


 前日のジョージア州サバンナでの試合を終えたドリーはすぐにフロリダに移動する。この日は水曜日で、マイアミビーチでの定期戦が行われる日である。当時のフロリダは日曜日がオーランド、月曜日がウェストパームビーチ、火曜日がタンパあるいはフォートマイヤース、水曜日がマイアミビーチあるいはオーガリー、木曜日がジャクソンビルあるいはベルグレード、金曜日がオカラ、土曜日がレイクランドでハウスショーが行われていた。


 この日のカードは下記のようなものである。最後の2試合は結果が分かっているが、他の試合の結果は分からない。



  1969年6月25日 米国/フロリダ州マイアミビーチ/マイアミビーチ・コンベンション・ホール
  試合開始:午後8時45分


1)ミックスト・6人タッグマッチ
   ドン・カーティス&レス・ウェルチ&ボボ・ジョンソン(結果不明)スマッシャー・スローン&デューク・ケオムカ&ザ・リトル・ブルーザー


2)NWA認定フロリダタッグ選手権試合
   ザ・ミズーリ・モーラー&ヒロ・マツダ(結果不明)ザ・スーパー・グラディエーター&ルイ・チレ
    ※第5代王者チームのM・モーラー&H・マツダが王座防衛に成功する。S・グラディエーターの正体はリッキー・ハンター。


3)NWA認定フロリダ女子選手権試合
   シャリー・リー(結果不明)バーバラ・ガレント
    ※S・リーが王座防衛に成功する。


4)シングルマッチ
   ルー・テーズ(結果不明)ドクター・X


5)賞金2000ドル・チャレンジマッチ
   ジャック・ブリスコ(結果不明)デール・ルイス


6)NWA認定フロリダブラスナックルズ選手権試合
   ザ・グレート・マレンコ(勝ち)ジョー・スカルパ
    ※J・スカルパが王座防衛に失敗。G・マレンコが新王者となる。


7)NWA認定世界ヘビー級選手権試合  スペシャルレフェリー:ルー・テーズ
   ドリー・ファンク・ジュニア(勝ち)サイクロン・ネグロ
    ※第10代王者D・F・ジュニアが王座防衛に成功する。C・ネグロはNWA認定フロリダヘビー級&カリビアンヘビー級王者。



 第1試合はミゼットレスラーのB・ジョンソンとL・ブルーザー(19歳)が加わった6人タッグマッチ。ジョンソンはD・カーティス(42歳)とL・ウェルチ(45歳)のベビーフェイス組に加わり、ブルーザーはS・スローン(33歳)とD・ケオムカ(48歳)とヒールトリオを結成する。


 第2試合はフロリダタッグ選手権試合。王者チームのM・モーラー(38歳)&H・マツダ(31歳)は5月27日のタンパ大会ででザ・グラディエーター(正体はリッキー・ハンター、33歳)&L・ウェルチ(45歳)から同王座を奪っている(下記の新聞参照)。この日ハンターはリングネームをザ・スーパー・グラディエーターにグレードアップさせ、パートナーをL・チレ(ルイス・チレット)に変えて王座奪還を試みたが、その試みは失敗に終わっている。


NWA世界王者でたどる各地の熱戦譜



 第3試合はフロリダ女子王者のS・リーがB・ガレント(28歳)を相手に防衛戦を行う。リーはプロレスラーのクリス・ベルカスの妻で、ふたりの間にできた娘と結婚したのがスーパースター・ビリー・グラハムである。一方ガレントはマリオ・ガレントの娘。この試合で王座の移動があったかどうかは不明である。


 第4試合には元世界ヘビー級王者のL・テーズ(53歳)が登場。5日前のアトランタ大会で現世界王者のドリーに挑戦し敗北したテーズは、この日はドリーの世界戦のレフェリーとしても招へいされている。しかし決して王座奪還をあきらめている訳ではなく、このあとテネシー州メンフィスやテキサス州アマリロで挑戦することになる。この日は謎のマスクトレスラー、ドクター・Xとシングルマッチを行った。


 第5試合は賞金2000ドルを争奪するスペシャルマッチ。ベビーフェイスのJ・ブリスコ(27歳)とヒールのD・ルイス(35歳)が一騎打ちを行った。どちらもドリーの世界王座を狙っているが、この地区ではドリーがベビーフェイスのため善玉のブリスコはいささか不利である。


 事実この年にブリスコが挑戦したのは7月30日(マイアミビーチ)だけであるのに対して、ルイスは8月2日(バハマ、ナッソー)、9月23日(タンパ)、11月12日(マイアミビーチ)、12月13日(プエルトリコ、サンファン)、12月16日(タンパ)というように5回もドリーと対戦するチャンスを与えられている。なおバハマとプエルトリコはフロリダから選手が送られて興行が打たれている。


 第6試合はフロリダブラスナックルズ王座を賭けた前王者G・マレンコ(ボリス・マレンコ、35歳)と現王者J・スカルパ(チーフ・ジェイ・ストロンボー、40歳)の一騎打ち。この試合でマレンコは4月17日にジャクソンビルで奪われた同王座の奪還に成功している。


 第7試合はこの日の最終試合である世界タイトルマッチ。挑戦者は二冠王のC・ネグロ(37歳)。ネグロは4月15日にタンパでハンス・モーティアからフロリダ王座を、4月5日にプエルトリコのサンファンで同じくモーティアからカリビアン王座を奪っている。三冠王を目指してドリー(28歳)の王座に挑戦したが、最後に特別レフェリーのテーズに手を挙げられたのは王者ドリーであった。


 フロリダでのワンマッチを終えたドリーは翌日から約1週間のミッドアトランティック地区でのサーキットに入る。ここでは当時フロリダを主戦場にしていたG・マレンコがワンマッチ契約でノースカロライナ州シャーロットの大会に登場し、ドリーの世界王座に挑戦しているのが注目に値する。いかにマレンコが高く評価されていたのかが分かる事実である。