東京から、妻の熊子の高校時代の友人Mが札幌の拙宅へ遊びに来た。


一昨年の暮れに大阪出身の彼と結婚している。


必然、結婚生活の話になる。


僕と熊子は一緒に自宅に居ると、半日くらい別々の部屋で過ごす。


よく、独身の人は


「一人暮らしが気楽だ」


などという。


僕は


「一人が気楽だと言う独身の人は、二人で暮らす気楽さを分かっていない」


と話した。


これは、自分でも驚くくらいMや当の熊子に受けた。


Mは


「名言だ」


と称えてくれた。


女にとって、妻子のいる男が魅力的に映るというアレは本当か。


僕はかねて気になっていた疑問をぶつけてみた。


Mは、本当だという。


ただ、やはり妻子がいるのだから恋愛感情は生まれにくいのでは?


嬉しいことに、そうではないらしい。


ある種の女性は、守る者を持つ男に引かれ、そんな男に選ばれることに幸福感と優越感を覚えるのだという。


考えてみれば、そういう女性がいないと不倫はなかなか成立しないから当然といえば当然だけど。

僕もそうだが、Mの旦那さんも、いわゆるぶりっ子の女が苦手。


女の人はよく


「馬鹿な男がああいうのに騙されるのよ」


などと難じるが、それは断じて違う。


大抵の男は気付いているのである。


でも騙されている。


一緒か……。


まあ、だから苦手ということなんだけど、ぶりっ子は女にとってこそ憎むべき最大の敵だと思う。


実際、女が


「あの女ムカつく。男の前だけかわいいフリして」


なんて口を極めて罵っているのをよく耳にする。


ただ、ぶりっ子とは程遠いMや僕の妻は案外そうでもないらしい。


二人の反応を聞いていると、ぶりっ子に対する露骨な嫌悪感は全くなく、いくぶんかの憐れみを伴った無関心、あるいは、ひどく効率の悪い仕事をした人に対する労いと同情の念すら抱いているような趣だった。


世間一般で言われるほど単純ではないのですね。


ちなみに二人は二十代である。


久々に男女関係の話で盛り上がって面白かった。