ただいま晩の9時であるが、朝から7回も大をしに憚りへ行っている。
何故7回も大をしに憚りへ行っているかというと、下剤を服用したから。
何故下剤を服用したかというと、バリウムを飲んだから。
何故バリウムを飲んだかというと、健康診断があったから。
このバリウムが不味いの不味くないのってどっちだ、不味かった。
ヨーグルトと白酒を混ぜたような珍妙な味覚で、嘔吐きそうになった。
「昔に比べたらまだましだよ」と上司は言うが、バリウムを飲むのは今回が初めてで比較のしようがない。
バリウム検査は、巡回式バスの中で行われた。
バリウムを飲む直前に、まず顆粒の発泡剤を飲まされる。
思わずげっぷが出そうになるが、げっぷはこれをするなと医者から厳重に注意された。
そんな無体なことがあるか。
水色の腰巻を着用して、医者の指示に従って奥へ進むと、半筒状の台の上に乗せられた。
自分は初めてだというのに然したる説明もないまま、台をでたらめに動かし始め、マイクを通じて「右を向け」「左を向け」「ぐるぐる回れ」「息を止めろ」と矢継ぎ早に指示を出す。
ひどいのになると、「右を向いて息を止めて、腹だけ少し左を向けろ」と無理難題を吹っかける。
はっきり言って辱めを受けるのと何ら変わらない。
どんなに地位も名誉もある紳士でも、この検査をしている姿を見られれば、忽ちその権威が失墜するであろう。
排泄されたバリウムの憎らしいことったら。