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「自然農法 わら一本の革命」

(著: 福岡正信、出版: 春秋社、1983年)


「The One-Straw Revolution」

(訳: Larry Korn、Chris Pearce、Tsune Kurosawa、出版: New York Review of Books、2009年)


プノンペンのMonument Booksでたまたま手にした本が(装丁がカッコいい)、
日本人の著作だと知り驚いた。


"Zen and the Art of Farming"

(禅と農の技術。ロバート・M・パーシング著「禅とオートバイ修理技術」のもじり。)


"Little Green Book"

(リトルグリーンブック。毛沢東著「毛沢東語録」通称「リトルレッドブック」のもじり。)


英訳本のバックカバーにあるこれらの評価が示すように、
本書は農業についての批評であるのと同時に、

その背景にある思想にも挑むものである。


農学を学んだ後、

横浜税関の植物検査課に勤めていた当時25歳の福岡が、
その職を辞めた理由は、

そのときの思いつきによるものだった。


その思いつきとは、
以下のようなものだ。


「人間というものは、何一つ知っているのではない、

ものには何一つ価値があるのではない、

どういうことをやったとしても、無駄である、無益である、徒労である。」(P. 8)


「人知・人為は一切が無用である。」(P. 44)


人知・人為が無用であるからこそ、

福岡は自然の力に従う自然農法を唱え、

それを実践することとなる。


自然農法とは、

1.不耕起

2.無肥料

3.無農薬

4.無除草

の4原則からなるものだ。


言わば現代農業へのアンチテーゼだが、

自身の40年近く(本書執筆時)に渡る実践の賜物である以上、

決して理想論ではない。

(これらは原則であるため、

実際には細かな作業があり、

完全になにもしないということではない。)


自然農法の基には、

無駄な人の業とは対照的な万能な自然という考えがある。
肥料や農薬をやらずとも、

自然に従った農業を行えば、

自然が土地を豊かにしてくれる。


その自然の恩恵を顧みず、

科学技術によってそれを破壊しているのが我々人間だと、

福岡は言う。


自ら自然を破壊しておきながら、

農薬だ、肥料だというのは、

自分で屋根に穴を開け、

それを修理する方法を見つけたと言っているのと変わりがないと。


そして、その科学技術の根底にある哲学こそ、

「我思う、故に我あり」というような

人間を中心とした西洋思想(近代思想)なのだと。


世界最大の防波堤の崩壊、

絶対安全な原子力発電所の事故、

開発による自然破壊、

人口増加による地球への不可、

そんなものを知ってしまった現在、

福岡の言葉はその重みを増しているようにも思われる。


「遅れた」カンボジアの伝統的な農法は、

むしろ自然農法に近い。

そこでは現金収入を生むための「農業」ではなく、

食べ物をつくるための「農」が行われていたとも言える。

今や近代化の道をまっしぐらだ。


我々は間違った道を進んでいるのであろうか。



例年より若干早いように思われるが、

バッタンバンでは稲刈りシーズンが始まっている。


稲刈りの時期、

州内至るところで、

道路脇のスペースは乾燥中の籾に占領されてしまう。

刈入れを行うコンバインの数も年々増え、

今では全く珍しくないものとなった。


バッタンバンで晴読雨耕-稲刈り


先日 香米の価格について書いたばかりだが、

今週州内で調べたところ、

値段は下がり始めているようであった。

収穫が増えるに連れということであろう。


現在の籾の農家販売価格は、

品種によってR800~R1,120/kg(約0.2~0.3ドル)で、

香米と言われる品種でもR1,120/kgがせいぜいのようだ。
精米のFOB価格は700弱~1,000ドル弱。


全国的には、

日照りの影響により収穫量は昨年並み、

或いは昨年を下回るという見通しととの報道が出ている。


昨年は大きな洪水があったこと、

政府が米の輸出に力を入れていることを考えれば、

今年の収穫量が下がるということは意外な気もするが、

確かに、日照りでイネは辛うじて生き残った田んぼでも、

雑草が増えすぎたとの話も聞く。


これまで州内で見聞きした範囲では、

国道5号線沿いの平野部では、

3トン/haは収穫できているようではあった。


稲刈りは年末頃まで続けられる。

今後の動向にも注目である。



ベトナムのホーチミン市の産業展「ホーチミン・エクスポ2012」が

市内で開催されている。


バッタンバンで晴読雨耕-HMCエクスポ1


バッタンバンで晴読雨耕-HMCエクスポ2


ベトナム、タイといったように国単位の産業展は過去に例があるが、

市が単独で同様のイベントを行うことは、

恐らく初めてのことと思われる。


初日に当たる21日は、

ベトナム大使館員らも出席しての式典が行われていた。


バッタンバンで晴読雨耕-HMCエクスポ3


出展ブースには、

靴、台所、食品といったものから、

肥料や機械といった産業向けの商品が並ぶ。

すでにカンボジアでのお馴染みの企業の出展もあり、

あらためて同市の産業の底力を見せつけられた思いがした。


バッタンバンで晴読雨耕-HMCエクスポ4


ベトナムやタイで、

プノンペン・エクスポが開かれる日は、

やってくるのであろうか?

バッタンバン・エクスポもいつの日か・・・



ASEAN開催によって、

プノンペンの主要道路は封鎖、

道路沿いの商店も閉店という措置が取られているようだが、

バッタンバンは至っていつも通り。

テレビで報道されるASEAN関連のニュースも、

まるで海外の出来事といった風。


前国王がお亡くなりになったことから、

来週の水祭りは中止とのこと。

通常10月末に行われるバッタンバンのレースも中止であった。


来週の連休自体はそのままなので、

渋滞でストレスフルな1週間を過ごしたプノンペン市民にとっては、

癒しの1週間となるであろうが、

バッタンバン市民にとってはいずれにしても、

ただの連休である。


水祭りの時期ともなれば、

いよいよ雨季も終わり。

10月から雨季の終わりのような天気が続いていたが、

11月に入って再び雨の日が続いている。

今朝も雨。


タイトルに「ASEANと水祭りと乾季の始まり」と書いたものの、

バッタンバンには訪れていないものの話ばかりになってしまった。