地元英字紙のPhnom Penh Postに、
コメの相場に関する記事が出ていた。
香米(籾)の値段が、
短期間の間に、
キロ当たり1,300~1,500リエル(約0.3~0.4ドル)で上限を繰り返しているといった内容。
取引が制度化されていない現状では、
こうしたことは十分起こりえる。
何らかの理由で買手が増えれば、
値段が上がるというだけの非常にシンプルな話だ。
むしろ注目すべきは、
長期的な相場の推移や
生産コスト、利益率である。
同記事には2010年の価格が1,000リエル(約0.25ドル)であったとされている。
自分の記録を見ても、
過去5年程上り続けていることは間違いない。
以前、コメは薄利 だと書いたが、
数年前の政府試算では、
約300ドル/haの売上に対し、
約100ドル/haの生産コストであった。
この計算ではha当たりの利益は200ドル。
大きくて5ha程度しか持たない一般的の農家(平均5人)では、
1,000ドルの年収、
1日当たり1ドル以下の生活となってしまう。
カンボジアの富裕層は、
数百ha単位でコメの栽培を行うが、
上記の数字を当てはめれば、
100haの収穫で20,000ドルの利益。
天候という不確定要素を考えれば、
それを死守するのもそれほど楽な話ではない。
現在の相場が1,400リエル/kgとし、
単収を2.5t/haとすれば、
売上は875ドである。
これに係る生産コストは、
どの程度まで上がっているのであろうか?
タイへの出稼ぎが増えるにつれて上がる人件費や、
コメ相場と連動して上がる種籾価格、
機械化に必要なオイル価格の高騰。
不安要素は少なくない。
稲作を国の成長産業として考えるにしても、
貧困削減の鍵と考えるにしても、
重要な問いである。