爛れた家 ~蔵六の奇病より~ | ホラー映画と発狂女

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ホラー、スプラッター、サイコ系映画をメインに観た映画を忘れないよう書いていく雑記帳です。
ネタバレしまくりですのでご注意ください。

 

 

✂一行あらすじ

体が腐り爛れていく奇病に罹った兄と兄を気遣う妹

 

 

✂あらすじ(ネタバレ)

 

蔵六は両親と、仲の良い妹春子四人で村に暮らしていた。

 

ある朝、蔵六が歯を磨いていると歯が抜け落ちてしまう。

更に夜になると足の強い痒みで眠ることが出来ない。

両親は大したことはないだろうと蔵六を休ませるが、足の爛れは顔にまで広がってきていた。

短い間に蔵六は包帯だらけになり、虫が集るようにまで病状を悪化させる。

父親はそれを嫌ったが、母親は甲斐甲斐しく看病を続けるも病は一向に改善しない。

 

村の者が訪ねてきて呻き声と酷い臭気に逃げ帰り、最近姿を見せない蔵六が何かおかしな病にかかっているのではないかと噂が流れる。

父親は村長に呼び出され、疫病だったりしたら困るのだからと蔵六を医者に連れて行くよう諭すが、父親は経済的余裕が無いからと断り、金銭的援助も受け入れない。

 

外が見たいという蔵六に春子は付き添い村外れまでやって来る。

そこで村長の息子に姿を見られてしまう蔵六。

春子に気にある村長の息子は言い寄ってくるが、春子はそれを嫌って平手打ちをし、殴り返されてしまう。

蔵六は体当たりをし、蔵六の体液が付いたことで怯んだ村長の息子から、もうろくに動かない体で春子の肩を借りて逃げ去る。

 

村長が息子と若い衆を伴ってやってきて、家に強引に上がり込んで蔵六を引きずり出す。

白日のもとに晒された蔵六の体は強い臭気を放ち、皮膚は爛れ、腫れ上がっていた。

その姿に皆が言葉を失うが、村長の息子だけは蔵六に手酷い言葉を投げつける。

そこへ春子が帰宅し、蔵六を庇いながら泣き暴れて村の者達を追い返す。

 

精神錯乱まで起こすようになった蔵六を、父親はもう苦しんで死ぬだけなのだからと殺すよう母親に提案するが母親は拒否する。

しかし、のたうち回って家を破壊してしまう蔵六の看病は母親にとっても限界だった。

 

祭りの夜、母親は蔵六の体を起こして食事をとらせる。

その食事には父親が作った毒が混ぜてあった。

春子はそれに感づき食事を叩き落とす。

父親は刃物を持ち出してくるが、母親と春子に止められ蔵六を殺すことはできなかった。

春子は蔵六を背負って家を出る。

 

よろよろと歩く春子の前に祭りの扮装をし、狐の面をかぶった男が立ちふさがる。

村長の息子だ。

村長の息子は春子に暴行しようと腹を蹴って動けなくし、蔵六を持っていた松明で滅多打ちにする。

春子は重い金属の棒を持ってきたが、村長の息子を殺すことはできなかった。

それでも蔵六を殺し、春子に殺されかけた村長の息子は泣き這いずりながらその場を去っていく。

 

蔵六がいなくなり、両親は庭で遊ぶ兄妹の声を聞いたような気がした。

春子は蔵六とよく訪れた村が一望できる場所で、仲睦しげな幼い兄妹の姿を見ていた。

 

 

✂感想

 

日野日出志原作ということで、グロが見所だったのだろうが全くグロくないので良さがなくなっている。

ストーリーも全く面白みがなく、単に奇病にかかった蔵六とその周囲の人々というだけ。

ひねりもオチもカタルシスもない。

冒頭で原作者の語りがあるのだが、そこで私は狂っているだの次に死ぬのはお前だだの期待値を上げざるを得ないため、余計ストーリーの凡庸さが際立つ。

かといって、日野日出志原作がつまらないというわけでは決してなく、この作品がつまらないというだけだ。

日野日出志であれば「マンホールの中の人魚」をお勧めしたい。

かなりグロいので猛者の方はどうぞ。