ジア 裸のスーパーモデル | ホラー映画と発狂女

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ネタバレしまくりですのでご注意ください。

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✂一行あらすじ
実在したスーパーモデルの愛とドラッグによる転落

✂あらすじ(ネタバレ)

ジア→17歳でモデル事務所に所属し、トップモデルに登りつめるがドラッグで破滅していく
リンダ→ジアがたった一人愛し続けた恋人
T・J→ジアと同郷である青年。最初は恋人としての立場を望んでいたようだが、後に親友となる


ジアの両親は母親の浮気をめぐって不仲であり、ついに母親は家を出て行ってしまった。
大好きだった母の出奔に幼かったジアは深く傷ついた。

成長したジアは兄達と共に父のダイナーで働いていた。
そこへ君を何度か見かけたのだとT・Jという青年が訪ねてくる。
T・Jと連れ立って出かけた夜の街で、ジアは写真家に見初められ撮影に連れて行かれる。
被写体としてT・Jや写真家自身をも巻き込み撮影は進み、T・Jと写真家が男同士のキスをするという場面もあった。
ジアは奔放でありながらも、時折淋しげな表情を見せる。

こっそり出て行った母の様子を見に行ったジアは、再婚した母が新しい夫と出かけるのを目にしても声をかけることが出来ずにいた。
家に忍び込んだジアは、撮ってもらった写真を母のベッドにそっと置き、母のベッドに愛しげに横たわるのだった。

ジアはフィラデルフィアを出てニューヨークのモデル事務所へ向かう。
当時良しとされていたモデル達のなかで、ワイルドな魅力を持つジアは異色を放っていた。
事務所に採用され、ジアは仕事を取るために何度も面接に挑むが結果は芳しくない。
そんななか仕事が入り、引っ越しを手伝ってくれたT・Jも帰ってしまって孤独で不安であったジアは母に電話で話を聞いてもらい撮影現場へ。
豪華な毛皮で着飾ったモデルに、粗末な服装で地面に座り込んでいたジアは物乞いに間違われたりもした。
現場へ入ったジアの粗暴とも言える格好や言動を上品なモデルやスタッフらにくすくすと嘲笑われるが、ジアは紙コップに恵まれた小銭をひっくり返し、新しいコーヒーを要求するなど意に介さない。
そこで話しかけてきたのがジアを担当するメイクのリンダだった。

モデル達とともに通常のファッションの撮影をしていくが、写真家は退屈な撮影に飽き飽きしており、モデルにヌード撮影を要求する。
他のモデルは呆れて立ち去るが、ジアはリンダが残るならと全裸での撮影を了承する。
離れて見守っていたリンダはジアの挑発的な眼差しに惹かれ、写真家の要望もあり、自らも全裸となって撮影に参加する。
そこからジアとリンダは女同士ながら親密な関係になっていく。

リンダと関係を持った翌朝、ジアはドアの音で目を覚ます。
リンダがジアの部屋から帰って行くところのようだった。
ジアは飛び起き、全裸のままでエレベーターを待つリンダに詰め寄る。
彼氏がいるから帰らなくてはというリンダに、みんな私を置いていく、ここにいてと縋るがリンダは行ってしまう。
ジアは唇を噛み締めた。

新人モデルとして事務所の売り込みもあり、仕事もどんどん増えていき、セレブの一員となりつつあったジアはパーティーにもモデル仲間と連れ立って出かけるようになり、ドラッグに手を染め出す。

突然リンダのアパートの前に車で現れ、フィラデルフィアの母の家に連れて行くジア。
そして母をニューヨークの自分の新居に連れ帰る。
母はジアの部屋を裸の男がうろついているのを見て、しばらく滞在することに。
ジアはずっとリンダに花を贈り続け、彼氏も訝しむほどリンダの部屋には花が溢れかえることになった。
どこかから彼氏と帰宅してきたリンダを部屋の前で待ち伏せ、私と一緒に来てと迫るがリンダは了承しない。
拒絶されたと感じたジアは立ち去り、母の眠る自宅のベッドへ身を寄り添えて横たわる。
しかし、再婚した母には夫もいるのでフィラデルフィアに帰らなくてはならない。
ジアは泣きわめいてここにいるように訴えるが、母は帰ってしまう。
癇癪を起こしたジアと母は喧嘩別れのようになってしまった。

一方、モデルの仕事の方は順調すぎるほどで、孤独を募らせた上に、有名ブランドとも契約し世界中を飛び回ることとなり、多忙になったジアは撮影の合間にもドラッグを吸引するようになる。
更にモデル仲間に進められて、より強いヘロインにも手を出し始める。
ジアを見出してくれ、慕っていた事務所の女社長が病で亡くなり、悲観にくれるジアは悲しみから逃れようと益々ドラッグに依存していく。

撮影中にドラッグ切れを起こしたジアは具合が悪いジアを気にかけず、撮影のことばかりを気にする現場を奇抜な衣装のまま抜け出し、ドラッグの売人を求めて町をさまよう。
教えてもらった道筋を禁断症状に苦しみながらよろよろと歩き、ようやく薬物中毒者の溜まり場に辿り着く。
しかし、あいにく売人はその場にはおらずドラッグを分けてもらおうとするが吸引するものはなく、注射なら分けてやると言われる。
難色を示したジアだったが、ドラッグ切れに耐えかねて打ってもらうことに。

ノックの音にリンダが部屋のドアを開けると、そこには奇抜な衣装とメイクのまま、ボロボロになったジアが立っていた。
会いたくなったからと言うジアに、彼氏とは別れたとリンダが手を差し伸べるが汚れているからと身を捩るジア。
リンダは構わず部屋に招き入れ、傷ついたジアとシャワーを浴び、優しく撫ぜ抱きしめる。

ジアはリンダにドラッグを断つことを誓い、フィラデルフィアにリンダと一緒に戻りドラッグのリハビリ施設に通い始める。
母は娘の華々しい業界への復帰を期待しているようだったが、ジアはモデル業に復帰するつもりはなかった。
リンダは仕事で度々ニューヨークに戻らなければならず、寂しくなったジアがリンダの部屋に電話をすると男が出る。
荷物を取りに来たリンダの元彼氏だった。
誤解をしたジアは母の家に忍び込み、現金や宝石を盗んでドラッグを買いニューヨークへと車を走らせているところを無謀運転で逮捕される。
なんとかリンダに釈放してもらったジアは、一緒にいたいからこんな生活では駄目だ、モデルに復帰すると言い出し、かつてジアを引き抜こうとしていた事務所を訪れる。
新しい事務所社長はドラッグ中毒でもう有名になってしまっていたジアとの契約条件に、トーク番組への出演を提示し、ジアはそれを受ける。

リンダに美しくメイクをしてもらったジアは出演前にトイレへ行く。
様子を見に行ったリンダは、ジアがドラッグを吸引している姿を見てしまう。
収録が始まり、司会者のもう更生したのか?という問いに微笑みながらもうドラッグとは手を切ったと話すジアを見てリンダはその場を立ち去る。

リンダが眠る支度をしていると窓の外にジアが姿を見せ、入れてとノックする。
リンダがそれを無視すると、ジアは窓ガラスを蹴破って入ってくる。
見捨てないでと縋ってくるジアをもう信じられないと拒絶し、リンダは苦悩に泣き出してしまう。
ジアのポケットから落ちたドラッグを手に取り、あなたはドラッグに支配されている、私かドラッグかどちらかを選んでとリンダは言う。
ジアが抱きついてきて、リンダは自分を選んでくれたのだと一瞬思うが、後ろ手にリンダが持っていたドラッグをジアの手が奪おうとしたことで絶望してしまう。
ジアは泣き崩れるリンダの部屋を去っていく。

ファッションショーに出演中のジアは途中で様子がおかしくなったり、幕間にドラッグを注射したりしている。
注射器を刺す腕はもう爛れたようになっていた。
ジアの深刻なドラッグ中毒の噂は広がり、またイメージと季節感が合わなくなってきたこともあり仕事は減っていった。
モデルの使い捨てを良しとしない知人の写真家にたまに呼ばれても、撮影現場でエキセントリックな言動を取る。
それでもその写真家は未完成でいいんだ、とジアを撮影する。

体の不調もあり、ジアは母に電話しフィラデルフィアに帰ろうと思うと話すが、母は以前の窃盗のことも有り受け入れられないと渋る。
撮影現場でドラッグで朦朧としたジアは人形のように扱われる。

フィラデルフィアのT・Jはジアの噂を耳にし、部屋を訪ねてくる。
開けっ放しになった部屋の扉の奥では髪を振り乱したジアがT・Jには目もくれず、あるはずなのだという金を探していた。
T・Jに気付くと挨拶もなしに金はあるかと聞き、持っていないと答えると金と引き換えに抱かせてあげると言い出す。
そのジアの様子にT・Jはジアを抱きしめる。
ジアは激しく抵抗し、持っていたナイフでT・Jに斬りつける。
ヘラヘラしていたジアだったが正気を取り戻し、T・Jを手の傷を見つめる。

T・Jはジアを病院へ連れて行き、保険も金もないジアに貧困者用免責を受けさせ、入院させる。
隔離されたジアは禁断症状に悶打って苦しみ続ける。
セラピーに参加した母は患者は私じゃない、誰かのせいにしたいだけ、過去をほじくり返しても無意味だと不快感を示す。

治療プログラムの迷惑をかけた人々への謝罪の一環でジアからリンダに電話がかかってくる。
受話器を取りはしなかったが、リンダは留守電に吹き込まれるジアの声を傍で聞いていた。
泣いて声をつまらせながら謝り、愛を伝えてくるジアの声に受話器を取り、もうすぐ更生施設を出られるのだというジアを許す。

更生施設を出たジアは地味な衣料品店での職に就き、母と自宅でクリスマスの飾り付けをしていた。
母は母の家に来るようにと誘うが、ジアは自立するべきだからと微笑む。
そして目眩などの不調を訴えた直後倒れ、病院へ搬送される。
診断は注射針が原因になったと考えられる、後天性免疫不全症候群(AIDS)であった。
退院の手伝いに来たT・Jは淡々と病気のことを説明するジアとは反対に動揺し、身を震わせて泣く。
そんなT・Jにジアは寄り添い、物事には理由がある。神が天国でのプランを用意してくれているからと抱きしめる。
T・Jはジアの母にジアを引き取ってやれないかと持ちかけるが、当時まだ後天性免疫不全症候群は新しい病気であり理解も周知もされておらず、夫が難色を示しているとして母は頭を抱えている。
母の夫が金銭的な負担をし、ジアはホテル暮らしになるようだ。
父には話さないでくれと頼まれているので他にどうしようもなく、T・Jが僅かな荷物を運び、ジアはホテルに居を移す。

吹き出物などが出てしまっていた肌をメイクで隠し、そうとは告げずジアはリンダの元へ最後の別れをしに行く。
リンダはジアの来訪をとても喜び、歓迎してくれるがジアは長居出来ないと話す。
時間はたっぷりあるから今度ゆっくり話しましょうと言うリンダに、ジアは微笑んでそうねと返す。
愛したのはあなただけと、ジアは日記をリンダに渡し読んで欲しいと頼む。
抱き合ったときにジアはリンダの存在全てを心に刻みつける。
リンダは海辺に家を買おうと考えていて、そこでジアとやり直したいと提案した。
別れ際のキスを制するようにリンダの胸に手を置き、愛したのはあなただけだともう一度伝えジアはリンダの部屋を後にする。

ジアは金をかき集め、売人のいる麻薬中毒者の溜まり場へ向かい、ドラッグを買いたいのだとわざと大金を見せる。
そこでジアは金を奪われ、激しい暴行を受け、救急車で搬送される。
連絡を受けた母が飛んできて、迎えに来たという言葉を聞いたジアは嬉しそうに笑む。
母は嫌がっていたが、父も兄と見舞いに来て後悔を感じていた。

入院を続けるジアの体には多数の痣が浮き、髪もまだらに抜け落ちてしまった。
付き添ってくれている母の顔を眺め、ジアは私を許してくれる?と問う。
もちろんだと答えた母に、ジアは私もママを許すと言う。
その時母はベッドの異変に気づく。
布団をめくってみるとジアは大量に出血しており、母は慌てて医師を呼びに走る。

ジアは亡くなり、ベッドから運び出す際には背中の肉が剥がれ落ちたという。
葬儀のために美しくメイクされたジアの体からは、全盛期のままの姿をしたジアの魂が起き上がり体から立ち去っていく。
美しい笑みを浮かべて。

✂感想
アンジェリーナ・ジョリーの出演作の中で最も好きで、何度も鑑賞した映画。
やみくもに「ドラッグは危ないです」「手を出してはいけません」と連呼するよりも、この映画を見せた方がどれだけ理解しやすいかとは思うが、同性愛や直接的な表現はないにせよ強姦などもあるので難しいかもしれない。
同じドラッグ映画として「レクイエム・フォー・ドリーム」よりは心情的に救いがあるのだが(実際のところはどうだったかは不明だが、映画では主人公ジアは亡くなってしまったものの母と許し合い、恋人リンダとも和解し、死を受け入れた上で前向きになっていた)、実在の人物がモデルとなっているという面では痛々しい。