中学時代の吹奏楽部の後輩、

トランペットのひーくんに、ばったり会う。

となりまちに住んでいるわりには、数年ぶり。

えー、久しぶり。元気?と一通り騒いだあと、

ひーくんが声を落とす。

「知ってる?さわさん亡くなったよ。」

え?

 

五十年前の中学吹奏楽部。

今は女性が多い印象の吹奏楽だが

私がいたのは、男性ばかり二十人。女性は数人。

だから荒っぽくて、しょっちゅうもめていたけど

上下のわけへだてなく、今もつきあえるのがよいところ。

トランペットのさわくんは、数少ない私の同期。

学生時代は、電車がいっしょになることが多く

よく愚痴をこぼしあっては、手を振って別れていた。

もう何年会っていないのだろう。

 

「あーさん先輩と、おれの同期のたんたんもね。」

 

トロンボーンのあーさん先輩とは

中学だけのつきあいだったが

のちに、奥さまとPTAでいっしょになった。

先輩よりかなり年下だったはずだ。

じゃ、あの明るい奥さまは

五十代で未亡人になったのか。

 

ユーフオニウムのたんたんは

まじめで、口数少ないおだやかな子だった。

中学ではしんどいことも多かったみたいだ。

おとなになってから、どうだったんだろう?

 

びっくりして、ぽかーんとしていると

ひーくんがぽつんと言う。

「生きている者は、元気に暮らしていかないとね。」

 

ほんとうだ。

 

ちょうどその前日、テレビで

俳優原田芳雄さんの、誕生日ライブを観た。

二月二十九日生まれの原田さんは

必ずその日にライブを行っていたそうで

亡くなられた後も、なかまたちが

ずっとライブを続けておられるそうな。

すごい俳優さんやミュージシャンが集まった舞台の

最後の曲が

生きてるうちが花なんだぜ  という曲だった。

 

 

あのときのたかだか二十人のメンバーのうち

三人が六十歳になるやならずで亡くなるなんて

あまりにも悲しい。

でも、どうしようもない。

私は、いままでどおり

日々を楽しく生きていこう。

 

ひーくんとは、また元気に会おうね、と

手を振って別れました。

いつも、さわくんと、そうしていたように。

 

 

七月二十四日 「ば」でした。

暑い。

ひたすら水分をとる日々。