小学四年生のかっちゃん。
音感はいいのですが、楽譜をていねいに読まない。
だから、曲をつかむのは早いけどまちがいだらけ。
いつもなら、しょうがないなあ・・と
苦笑いしつつ、少しずつ直すよう指導するのですが
発表会の曲をめちゃくちゃにしあげてきたのには
さすがに、文句を言いました。
かっちゃん、左手の音、まちがいだらけじゃない。
こんなのじゃ、発表会には出せないよ。
左手だけ、来週まで、しっかり練習してきて。
ところが、かっちゃん、
「片手だけの練習なんてできない。」と宣言しました。
なにをおお、とは言えない。
しかし、この発言にはかちんときた。
おだやかに返そう、と思いつつも、言ってしまいました。
一応、静かな口調で。
じゃ、どうしたらあなたは弾けるようになるの?
先生は、片手ずつの練習をして
ゆっくり、正しい音を覚えてほしいと思う。
だけど、それができないならどうしたらいいの。
教えてくれる?
「え・・・わからない・・・」
さすがにひきつるかっちゃんに、
来週までに直してきてね。と言って
冷たい先生は、その日のレッスンを打ち切りました。
内心、あーあ、この子だめだわ、と思いつつ。
ところが、翌週、
かっちゃんは、左の音のまちがいをすべて直してきました。
あれ、直ったね。どんな練習したの?
「すごくゆっくり、何回も弾いた。
片手の練習もした。」
できるんなら初めからやれよおおおおお!!!!!
とは、口が裂けても言えない。
そうか。よかった。がんばったね。と言っておきました。
しかし、今、この文章を書いていて気づく。
静かな口調で、どうしたらいいの?と聞かれたら怖いよな。
おびえて練習したのかな。ごめんね。
すべてあなたのためだからね。
でも、かっちゃん。
きっと同じことを繰り返すのでしょうね。
学んでほしいなあ。
十月二十七日 「ば」でした。
子供たちは、ひょんなことで伸びたり、
ひょんなことで、伸びなくなったり、
何年先生をやっても読めません。