結婚する前に、実家の母がぽつりと言った。
「結婚したら、しんどいことは二倍になるけど、
楽しいことが、その倍になるからね。」
ぼやっと聞いていた私は、結婚後、
その言葉を実感することとなる。
若かったので、当然今よりばたばた働いていたし、
だんなの「ぴ」にいたっては、会社員でありながら
午後九時台に帰宅したら、「奇跡の生還」と
言い合うくらい、毎日帰りが遅く、
慣れない家事はすべて私にかかって、
毎日へろへろで過ごしていた。
しかし、同年代の異性が、自分の味方となってくれて
おもしろい話をしては、いっしょに笑い、
へこむことがあってしょげていたら、
こっちがひくくらい、怒り狂ってくれる、という日々は
どたばただけど、おもしろくて。
そうこうするうちに、出産することとなる。
その前に、またもや母がぽつりと言った。
「生まれたら、しんどいことは四倍になるけど、
楽しいことが、その倍になるからね。」
八倍かいっ?
でも、本当にそうだった。
赤ちゃんは手がかかる。だけどおもしろい。
かわいい。かわいい。
このあたりから、私たち、
母の言葉のすごさに、格言に近いものを
感じるようになってきた。といっても
このような言葉を、しょっちゅうは言ってくれない。
前出の言葉も、一回ずつしか発言してくれず。
そして、つい最近、
三回目の、「格言発言」があった。
現在、就職試験を受けつつある「た」について
「どんなにいい仕事についても、
はじめはしんどいのよ。慣れてないからね。
慣れてくれば、なんでもできるようになるからね。」
これ!けっこうすごい言葉ではないだろうか?
母、後期高齢者になって久しいが、
いまだに高みに存在する人だなあ。
五月二十六日 「ば」でした。
レッスン中に鼻血が出ましたが、生徒の後ろで指導。
気づかれませんでした
ベテランになったなあと思うのは、こんな時・・って
いばれるものでもないが。