もう何十年前になるのだろうか。



その日のラジオ番組は荒れていた。

パーソナリティーのやしきたかじんさんが

冒頭からずっと怒っている。

関西のゴシップ系の新聞が、彼のことで

まったく事実無根の記事を載せたらしい。

運悪く、その記事は署名があった。

「○○新聞の△△、聞いてるかあ?

うそばっかり書きやがって!こっちへ来い!

ちゃんと説明しろやあ!」

何分たってもその調子。番組は進まない。



えらかったのはアシスタントを勤めていた

大阪毎日放送の石田敦子アナウンサー(当時)。

「△△さーん、たかじんさんがお呼びです。

毎日放送まで来て下さいー。」

淡々とよびかけ続けた。

そして、これまたえらかったのがこの△△さん。

ちゃんとこの番組の放送中にスタジオへやってきて

自分はこういう気持ちでこの記事を書いたのだ、と

一生懸命説明をし、

怒りまくっていたたかじんさんも、最後には

「わかった。まあお前もがんばれや。」と

自分の気持ちをおさめた。



一番えらかったのは、たかじんさんだったよね。



私にとっては、たかじんさんは

最後まで、ラジオのたかじんさん。

テレビに出演するようになってからは

初めの頃(たかじんのBAR-とかね)は別にしても

近年は、どなりまくる政治家さんたちの間で

政治問題を戦わせる人になっていた。

しかたがなかったのかもしれない。

政治の事に関して、きっちりと語り

自分の意見を言える日本人はあまりいない。

彼が尊重されるようになったのも無理はない。

でも、ラジオでのびのびと発言し、

コンサートを満員にする、すばらしい歌唱力の歌手、

それで、いつまでも私たちを楽しませてほしかった。



わがままなのだろうか。



安らかに眠ってください、なんて言えない。

桑名さんが亡くなり、たかじんさんも。

新年にはしおりちゃんも亡くなった。

関西はどうなるの?



私たち、一般の人間が、

届かぬ声を上げ続けていくべきなのだろうか。




一月八日  「ば」でした。

雨です。涙雨。