年賀状。
ただいま。
暗く寒い部屋。
返事をしてくれる人は誰もいない。
今年は一人で年を越した。
元旦から仕事だったのだ。
はぁ・・・
大きな溜息がもれる。
今日も一日が終わった。
明日もまた仕事だ。
世間は正月だというのに。
はぁ・・・
ビールの空き缶が散乱しているテーブルにDMの束をドサッと投げる。
ん?
その中に「あけましておめでとう」の文字。
年賀状だ。
「元気ですか? 寒いけど風邪ひいてないですか?」
お母さん、元気だよ。
なかなか帰れないでごめんね。
「こんなに大きくなりました。 お兄ちゃんのこと何て呼ばせようかね」
妹からだ。
甥っ子はずいぶん大きくなったんだなぁ。
「今年もいっぱい飲むぞ!」
コイツ、、、相変わらず飲むことしか考えてないな。
暗く寒い部屋に、ぱっと小さな火が灯った気がした。
それはどこか温かく、そしてどこか懐かしい。
僕はひとりじゃない。
みんなとつながっている―――。
携帯メールもいいけれど、手書きでしか伝えられない想いがある。
あなたに真心、届けます。
大切な人に贈ろう、年賀状。