仕事漂流 ― 就職氷河期世代の「働き方」/プレジデント社

¥1,680
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<総評>
★★★★★
<感想>
最近ブログではキャリアで悩む話ばかりだが、その流れで行きついた本。
いまんとこ今年一番よい本だった。
ロストジェネレーション世代の人(8人)の就職・転職や働き方を
著者がインタビューした内容をベースに描いている。
登場人物の考えは非常にリアルで読んでいると思いがひしひしと伝わってくる。
また著者が読み手のために文章上うまく補足・整理していると思った。
本が書かれた当時(2010年)に30前後を迎えキャリアに悩んだ人たちの
話なので自分と世代がオーバーラップしており、とても共感できる内容だった。
自分だけが悩んでるのではない。同じようなことを考えている人は多いのだ。
<概要>
いつもならここで概要だが、そういう本ではないので
印象に残った部分を抜粋しておこう。
今の会社も前の会社も、それほど違いはないように見える。
きっと大事だったのは「同じような会社ばかりだ」と自分が納得して働くことだった。
人間は相対的にしか生きられない動物。
二つの環境を比較することで初めて納得して目の前の仕事に集中できるようになった。
「自分のやりたい仕事ができるか」に固執するのではなく、
社会に対して自分は何を加えることができ、何を期待されているか。
働くことの中にあるもう一つの意味。
転職を実際にしてみると、必ずしも働くことや自己実現に対する明確な
答えなどないことがわかってくる。
だから何度転職しても結局は不安であり、将来を見通すことはできない。
昔は戦後の復興の総仕上げ、右肩上がりの時代の中でがんがん「使われる」
というものだった。ぐるぐる回る歯車に乗る感じ。
ただ、その歯車は想像よりもずっと速く回り、一生懸命走り続けなければならなかった。
それはそのように日本人が働いたから経済が発展したのではなく、
そのような時代だったから、日本人はそう働いた。
今の時代は歯車がゆっくり回っている。
選択肢が増えても成功の確率が低い時代と、選択肢が少なくても成功の可能性が
高かった時代との違い。
歯車がゆっくり回るということは、自分を放っておいたらその階段を
ずるずる落ちてしまう。
そうならないために、必死になって何かを見出し、
自分で歯車を回していかないといけない。
でも、歯車は周りのペースから遅れるとそこから落ちてしまうが、かといって
一人だけ速すぎても回らない。高速で回る歯車にうまく乗るのはそれはそれで
当時の人たちは漠然とした恐怖であったに違いない。
昔も今も「不安」はある。形が変わっただけである。
そうした不安を時代のせいにしてはならない。
仕事をライフワークと思う程情熱はなくとも、けっこう面白いと思う時はたくさんある。
客観的に考えれば、もっと現状を肯定しながら働くことができてもいいはずなのに
実際には働く上での「不安」が胸に湧き上がってくる。
娘が産まれ、仕事は金を稼ぐ手段と割り切ると気分が楽になった気がする。
しかし、それは子供が単なる免罪符になっているだけじゃないかと一方では思う。
ただそれは子供からしたら迷惑でないかとも思う。
お父さんは好きなことをやっていて、だからこそ私も好きなことをやるっというのが
健全ではないか。
高度経済成長時代は待っていても仕事がきて、仕事の方から自分に向かってくる感覚。
働くのはその仕事をばったばったとやっつけていく感覚。
今の私たちは自分で敵を見つけなければならない。
敵さえ見つけられれば後は戦うだけだと思える。
それが見つからないと、、、やはり自分を探しちゃうのだろう。
日本全体の経済が膨らんでいた時は、働く個人が現状維持でも総体としては
自分も一緒に膨らんでいけた。
しかし今は縮小すらしかねない時代をずっと生きている。
時代が右肩下がりなのであれば現状維持という考え方では時代と一緒に
落ちていってしまう。
今よりも自分を良くしていかないと、現状維持ですら現実には怪しくなってしまう。
つまり今という時代は少し不安で焦っているくらいの心の有様が正解なのかもしれない。
バブルが崩壊した後くらいから、現状をいかに守るかという組織防衛的な仕事が
増えていく。右肩上がりの時代は終わったのだから、やり方を変えなければならない
ことを若手は実感として知っている。
ただ、その上の幹部クラス上司は成長が当たり前だった人たち。
価値観がどうしてもぶつかる。
仕事がつまらない。意味が感じられない。
本当に必要だと思ってやっていればいいけど、どこか本当にこれが必要なのかと
疑問に思いながらやっいたら嫌にもなります。