日本の人事は社風で決まる---出世と左遷を決める暗黙知の正体/ダイヤモンド社

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<総評>
★★★★☆


<感想>
組織論とかそういうかたいアプローチでなく、ふわっとした目に見えない「社風」を
切り口に日本の人事、というか会社のありさまを書いている本。
こういう視点で書かれているのは珍しく新鮮な目で最後までざっと読めた。
若干著者の人的ネットワークを自慢するような感じで、様々な業種の会社の社風を
語るところがあるが、まぁそういう感じの会社だよねっと納得もできる内容だった。




<概要>
印象に残ったところを抜粋。

わが国の伝統的な会議風景・・・
担当部署のヘッドが優秀な部下のつくったペーパーに基づき、その日の
議題となっている案件の説明を始める。
基本的にはペーパー棒読みだが、鉛筆でメモ書きされたた補足事項を
それらしくコメントするところもある。
説明が終わると議長または司会者が「何か質問やご意見は?」と聞くが、
すぐには手が上がらない。少し間をおいてから、まず一人が
「意見というほどではないが」とボソボソ話始める。
その後、二三名発言するが、質問とも意見とも差し障りない発言が
続いて質疑は終了する。
そして、最後に議長が何かムニャムニャとしゃべったあとに、
「ではそういうことで」といって終了する。
いったい何がそういうことなのか、外国人の社外役員がいたら
どのように訳すのか。。。

この現象の理由は、出席者全員がほとんど同じ考えを持ち、
反対する必要がないところにある。もっと言えば、仮に違う意見だったとしても
その違いはわずかで、相手の言いたいこともそれなりに
よく理解できてしなうので、あえてチャチャをいれるのも大人げないと
感じているのである。
→社風がすでに結論を決めている!!!


新卒一括採用と長期雇用は日本労働市場の主流である。
もともと会社の好みに合った似たタイプの人が採用され、
以降ずっと同じ環境で仕事をするなかで、「内輪性」は純度を高める。
「金太郎飴」「ステレオタイプ」という表現を借りるまでもなく、
完璧な同質社会ができあがってしまうのは当然のことである。
→この同質社会の背景に君臨するのが社風である!!!



社風は経験則・成功体験の集合体

人事部長は社風の代理人。
組織体を維持することは、どの会社にとっても最も根元的な至上命題だ。
そこで中心的な役割を果たすのが、やはり社風である。
人事はそのDNAの運び屋である人材について、採用、異動、評価、
昇給・昇格など施策の遂行を役割として担っているからだ。
社風が人事部をして人事を差配し、至上命題である組織の
サステイナビリティを実現しているわけだ。
人事権を持っているのは、じつは社長でも人事部でもなく、社風と言える。

人事で重要なことは社員が納得感を持つことである。
確固たる信念や価値観を持って評価や異動で社員をバサバサと
さばいていくのではなく、ひたすら世間(社内)の声に耳を傾けて
それを集約することが重要であり役割となる。
そもそも現場にいない人事部において、誰が優秀で誰がそうでないかなど、
もともとわかるわけがない。
そのため現場から反論があれば返す言葉がない。
では先んじて社内世論を集めてそれを任せておこうとなる。
先進的な人事制度を作ることよりもまずは社内に吹く風、
声なき社内世論を適切に読み取ることになる。


終身雇用、年功序列、新卒一括採用によって日本的雇用慣行が完成する。
30年も同じメンバーと同じ組織で過ごす。
このような日本型労働市場においては最も重要な人事制度の機能は
社員の選別を行うことにある。
課長、部長、役員、究極的には社長を選ぶことが最大の役割である。
逆に仕事ができず会社の役に立たないと判断される人も当然出てくる。
そのような状態が長く続けば本来はやめてもらうべきだが、
日本の特殊な労働法のもとではダメな人間であっても簡単にはクビにはできない。
このため日本の企業は構造的に人員余剰の状態にある。
となると、必要があっても社外から人を連れてこれない状況になる。
すると社内人員を活用しようということになる。
すると社内人材に優劣をつけ、配置する必要がある。
そのツールが人事評価である。
→評価・昇進・処遇が重要であるが、まずは評価がスタートとなる。
評価結果が決まってから等級など昇進が決まり、給与へ反映される。