今月分のトリミングのお約束はいっぱいになりました。
ご希望の方がもしいらっしゃいましたら、6月4日以降のお約束となりますので何卒宜しくお願い申し上げます。

今日は韓国旅行の記事を書こうと思っていましたが、今日あった出来事を書きます。

私が働かせていただいている動物病院は、先生と二つ上のトリマーさんと私の三人。
アットホームで他の病院やショップには負けないくらい、かなり仲が良い職場だと思います。

オープン当初はトリマーは私のみでしたが、お客様が増えるにつれトリマーさん(Nさんと表記します)と一緒に働くようになりました。
ペットは外の番犬のハルちゃん、お家の中には美人猫のキキちゃんをご家族皆でかわいがっているNさん。

優しくて穏やかなNさんは、冗談ばっかり言って全く落ち着きのない私をいつも助けてくれ、お互い仕事をするうえでぶつかったこともなくスムーズに気持ちよくトリミングをしています。

去年の9月。

病院の前に、箱に入った子猫が捨てられていました。明らかに人為的に箱に入れられて。

まだ生まれて1、2週間程の衰弱した小さな子猫。

子猫を拾ってどうしていいかわからず、病院の前に捨てればなんとかなると思う人がいるようです。

保護したはいいが…飼えない、お金がかかる、でも助けたい。

ならば病院の前に捨ててもいいのでしょうか。
助けたくて捨てていいのでしょうか。
病院はボランティアではありませんし、病院に連れていけばなんとかなるわけではありません。

獣医さんもトリマーも魔法使いではないのですから。
よく『あの病院に行っても治らなかった』『カットが下手だった』
なんてお話もごく少数ですが耳にします。もちろん私達も反省すべき時もありますが、ちゃんと出された日数分の薬を飲ませきらずに自分の判断で投薬をやめてしまったり、金銭面や多忙で通院をやめてしまったり、後者については骨格や毛質によって希望通りにならないこともあったり…あくまで一例ですが。

もちろん事前の説明が大事ですが、皆さん分かってくださる方ばかりではないのが正直なところ。

獣医さんもトリマーも人間です。


話がそれましたが、衰弱しきって目やに鼻水でくちゃくちゃの子猫は、力を振り絞りニャーニャーお母さんを探していました。

ただ、排泄も促さなければ一人でなにもできない子猫。お世話するにも仕事をしながらだと目が離せません。里親さんを探すにしても、状態の良くない健康でない子猫を引き渡す訳にもいきません。


捨てた人に憤りを感じずにはいられない誰よりも猫好きなNさんは、放っておけず自宅に連れて帰りました。

そのお陰あって、子猫はなんとか徐々に元気を取り戻し、Nさんに『ジジ』と名前を付けてもらいました。
一時は助からないかと先生が思っていたくらい衰弱していたジジちゃん、Nさんは命の恩人です。

野良出身の猫は寄生虫やノミ・シラミ等の心配もあるので、しっかりケアしてもらっていました。
伝染病のワクチンも打ち、Nさんの新しい家族としてたくさんたくさん愛情を注がれ、望まない命が増えないよう、また高齢時の病気の予防のために先月は去勢手術も受けていました。

他の猫ちゃんに比べ、かなり小柄なようでしたが、会う度すくすく育つ甘えん坊のジジちゃんの成長が私も楽しみでした。

そしてNさんは心から動物を愛す、非常に心の優しい人なんだなと思った出来事でした。

およそ月齢8ヶ月。
かわいい盛りです。

今日の昼休みは、ジジちゃんの話題で二人でお昼ごはんを食べました。

やんちゃなジジちゃんは、お父さんのネクタイにしがみつき朝から怒られていた話。そのあと甘えてNさんの足に絡み付きゴロゴロお喋りしていた話。
ジジちゃんはNさんの嫁入り道具なんだという話。

一度死にそこなったのに、今はやたら元気だから、あの子は不死身なんだって楽しそうに話してくれました。


夕方仕事も一段落し、休憩室に入り自分の携帯のメールを読んだNさん。

私が後から遅れて休憩室に行くと、

泣き崩れていました。


ジジちゃん、今日
交通事故に遭ってしまったそうです。

お母さんが犬の散歩に行くのに玄関を開けた瞬間、普段外には行かないジジちゃんが飛び出したそうです。

きっと、あっという間の出来事だったのだと思います。

目の前は車通りの多い裏道。

小さいジジちゃんは、8ヶ月という短い人生に終わりを迎えました。


『行ってきます』と仕事に出掛けた時には想像できない出来事。

Nさんの悲しみははかり知れません。


それでも気丈に振る舞い、『大丈夫』と気を建て直す姿は泣けました。

こういう訃報を聞いた時は、いつも何て声をかけていいか気の利いた言葉も見付かりません。


霊園のパンフレットを持ち帰り早退したNさん。

取り乱すこともなく、笑顔を私たちに作ってくれました。


Nさんのお母さんも責任を感じてしまうでしょうし、
あの時ああしていれば…、もし1分違ったら…なんて後悔しているかもしれません。


そんなことを思うと、ご家族含めNさんのことが心配になってしまいます。

どうか。

皆さんが笑顔でいられるように、

ジジちゃんもきっと感謝しているはず、

悲しい気持ちは消えなくても、

ジジちゃんは天国で幸せの続きをしているはずですよね。


ささやかではありますが、私からも心よりご冥福をお祈りします。