スペインの片田舎で、おいしい魚を出す小さな旅館を
夫婦で経営している、そんなおじさんがいました。
そこに、アメリカのマーケッターが泊まりにきました。
おいしい魚を食べたそのアメリカ人は、
旅館の主人にこう言いました。
「この魚は、あなたが取ったんだね。
あなたは、どんな毎日を送っているの?」
「んー、朝になったら漁に出て、
その日食べる分の魚を取るでしょ、
その後昼食をとって、女房と昼寝して、
夕食の準備に魚を料理して、
お客さんや友達と一緒にお酒飲みながら食べて、
後はギターを弾きながら、歌って踊るんだ。
ああ、これで一日は終わりだね」
それはもったいないことだ、とアメリカ人は言い、
つづけておじさんにビジネスプランを話します。
「いいかい、君はもっと漁に出るべきだ。
そして、たくさん魚を捕って、市場に売るんだよ。
この魚はとてもうまいから、人気が出るはずだ。
そしたら、船を買って、もっとたくさん魚を捕るんだよ」
「そしたらどうなるの?」
「そしたら、もっともっと船を増やして、
そうだな、従業員も必要だね、会社を興そう。
たくさん魚を捕って、たくさん売って、
利益を出して、上場したら、凄い事になるよ」
「それでどうなるの?」
「そうなったら、考えられない事になるよ。
株を全て売却するんだ。君は億万長者になるんだよ」
「そしたらどうなるの?」
「そうだね、君は好きな事をして人生を送る事ができる。
朝から好きなだけ釣りをして、その日に必要な魚を捕って、
昼食を食べたら奥さんと昼寝して、
その日捕ったおいしい魚を食べて、
ギターを引いて仲間と歌って踊るんだ。
どうだい?
素晴らしいだろう?」