読書記 その3
先日読み終わった本は大好きな津本陽先生の剣豪系ストーリーで「修羅の剣」。
伝説の剣豪 仏生寺弥助を描いたものですが 以前短編で読んだ際に、
あの新撰組の芹沢鴨が頭の上がらなかった人物と聞いて 非常に興味深かったので
今回は上下巻の作品をあっという間に読み終わりました。
相変わらず少ないであろう資料からとても味わい深い表現で物語が進んでいきます。
津本先生の作品はこのような一般的にあまり脚光の浴びていない人物が多く 思いますが、
あまり知らなかった人でも主人公なので当たり前に「強い」。
物語は一介の農民だった弥助が自分の剣の才能に気がついて、江戸を目指していく。
江戸では練兵館で一番強い存在となるも字を覚えず、
結局不器用に剣の道のみに生きる・・・ 強すぎて誰も敵わないって言っても、
あの頃は千葉道場やら色々な剣豪がひしめき合ってた頃のはずなので どうなんだろうかと思い、
作品を読んでいきますが結局その圧倒的な強さに納得しちゃいます。
どのくらい強かったかが作品の中で丁寧に表現されていますが
それがわかりやすいのは津本先生自ら剣道をやられるからであることに間違いないです。
とにかくこの人 仏生寺弥助のメン撃ちは予告されていても防ぐことはできなかったというもので
特に「仏生寺一流」と一声かけてから繰り出される蹴り技も必殺だったのです。
芹沢鴨との関係は、道場に稽古にやってきた芹沢鴨が弥助に打ち負かされるところから
交流が始まるのですが 物語の中では芹沢鴨もめっちゃめっちゃ強いんですな。
弥助同様に実際に人を斬った事があるからその強さもなおさらなんじゃないかと思ったりもします。
芹沢鴨はご存知のようにすごくお酒の癖が悪い人だったけど、弥助とはもめたりしてない。
結局弥助はその流れで結成直前の新撰組に誘われて合流しそうになったところで
それを危惧した昔の仲間(攘夷派)にお酒に毒を盛られて殺されてしまうんです。
もし弥助が新撰組に入ってたらどうなってたのかなぁ。
たぶん芹沢派になってただろうから結局は暗殺されちゃったのかなぁとか
幕末の悲しいロマンをいろいろ考えちゃいます。
こういうのを読むとまた京都の方へ行きたくなっちゃうんですな。
秋には京都に行こう。