

韓国の朴槿恵大統領(61)は6月27日、中国を訪問し、北京で習近平国家主席(60)と首脳会談を行った。
両首脳は「北朝鮮の核保有は容認できない」とし、非核化のための努力を共に行うことを確認する共同声明を発表した。
両首脳は会談後に共同記者会見、習氏は「6カ国協議の早期再開を望む」と強調した。
朴氏は、日本が引き起こす歴史、領土問題のために北東アジアの政治的対立が解消しないとの認識を基盤に、米国や北朝鮮も含めた北東アジア地域の新たな協議体を設ける独自の構想を習氏に説明、理解を求めた。
韓国大統領は就任後、米国の次に日本を訪問し首脳会談を行うことが慣例だったが、朴氏は初めて中国を先に訪問した。
安倍内閣発足後、中韓と日本の間では外相会談も行われておらず、日本を外し中韓が接近する構図が強まっている。
韓国は、3回目の核実験を行った北朝鮮に厳しい姿勢を示す中国の対応を評価。
中韓関係を深めながら、米国も含めた3カ国が中心となって北朝鮮に非核化に応じるよう圧力をかけたい思惑だ。
朴氏は、北朝鮮の挑発には断固対応する準備をしながら、対話で緊張緩和を図り非核化を誘導するとの自身の対北朝鮮政策「朝鮮半島信頼プロセス」への理解も、習氏から取り付けたい考え。
韓国にとって中国は最大の輸出相手国で、訪中で経済関係強化も図りたい朴氏には韓国から71人の経済人が同行した。
◇≪歴史問題で共闘「日本外し」狙う≫
米国に次ぐ2番目の外遊先として中国を訪問した朴氏。
歴代の韓国大統領で日本より先に中国を訪問するのは初めてで、北朝鮮との関係安定と経済浮揚のため中国重視の姿勢を鮮明にした。
中国側も蜜月ぶりを最大限に演出、“日本外し”に懸念が高まる。
朴氏、訪中の成果強調 「多様な外交チャンネル構築で合意した」(朴氏)。「朝鮮半島の平和と安定維持で一致した」(習氏)。6月27日の会談後の記者会見で朴氏は、訪中の成果を強調するかのように穏やかな笑顔を浮かべた。
朴氏は大統領候補当時から、北朝鮮に対処する新たな枠組みとして、米中韓3カ国による「戦略対話」を立ち上げることを提唱してきた。
この実現のため、朴氏はオバマ米大統領との会談で中国の役割の重要性を主張。
オバマ氏が日米韓協力の重要性を口にすると、「北東アジアの平和のためには日本が正しい歴史認識を持たねばならない」と反論した。
「歴史問題で譲歩する気配がない日本との関係改善に神経を使う余裕はない」
韓国大統領府関係者は、5月の訪米後、朴外交の8割が今回の訪中成功に振り向けられたと指摘する。
一方でソウルの外交筋は「中国は大国同士の相手として米国とは2国間で話したがっている」と指摘。
その理由として「さまざまな懸案がある中で、韓国が入ることで議題が北朝鮮問題に限定されて困ると考えている」と明かした。
各メディアは大統領就任前の習氏らとの会談やたびたびの訪中、小学生だった際の愛読書が三国志だったことなどを詳しく紹介。
今回予定されている講演を「堪能な中国語で行うのでは」と“親中賓客”に期待を込めた。
中国では、日本より先に訪中したことに驚きはない。
韓国にとって中国が最大の貿易相手国なのに加え、朴政権が外交戦略で「中国を重要な地位に据えている」(中国人研究者)と自信を強めているからだ。
習指導部は歴史問題で日本に強く反発している韓国との親密さをアピールすることで、東アジアでの「日本の孤立」を国際社会に印象付けて、揺さぶる思惑が透ける。
「見たくない光景」
「できれば見たくない光景だ」
日本政府関係者は、韓国大統領が中国より先に日本を訪問する慣例が破られ、中韓が接近したことに複雑な表情を浮かべた。
民主主義を共有する国々との「価値観外交」を展開して中国牽制(けんせい)を狙う安倍政権にとって、最大のネックが韓国との関係だった。
日本外しとの見方もある朴氏の訪中で「今の日韓の冷え込みが映し出された」(外交筋)格好だ。
政府内には、安倍政権の外交戦略の主眼とされる対中包囲網の「一番重要な部分にあいた穴」(政府筋)があらわになることへの焦りとも後悔ともつかぬ思いがにじむ。
27日からブルネイで始まった東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合には岸田文雄外相のほか、韓国の尹炳世外相と中国の王毅外相も出席する。
日本外務省幹部は「このままでいいはずがない」として巻き返しを狙う。
2013.6.28
[SANKEI EXPRESS]
