
日米の戦艦、ヘリコプター、海兵隊が参加して、中国人に占拠された尖閣諸島の解放を想定した演習が行われる。
演習の実施水域は東シナ海ではなく、米国西海岸、カリフォルニア州。
射撃、パラシュート部隊の降下作戦に満ちたこの演習。
どうやら日本の政治家、国防関係者が得たいと思うのとはまったく異なる結果をもたらすことになりそうだ。
演習は、昨年から中国に執拗に尖閣諸島(中国名で釣魚諸島)の返還を要求されている日本側からの要請で実施の運びとなった。
尖閣諸島付近には過去一年、中国、台湾の漁船が入域を繰り返している。
日本の警備艇はこうした漁船の動きを制するために、放水を行わざるを得ない段階まで達しているが、どうやら日本政府は、こうした措置で事態の収拾を図ることはできないとの考えにいたったようだ。
このため日本政府は米国海兵隊に、敵に占拠された領域の解放を学びたいと要請したが、自衛隊としては内心は、学んだ経験が実地に移されることがないよう望んでいるのは明らかだ。
日本としては、中国は、日米同盟が手を組んで尖閣諸島を守り抜こうとする決意を恐れ、仮に武力でこれを奪還しようとするたくらみをもっていたとしても、それを実行に移そうとはしないだろうと期待している。

今のところ、中国が恐れおののいた様子はない。
中国政府からは相変わらず、古来の主権を回復する、つまり釣魚諸島を奪還する声明が繰り返出されている。
この声明を日本政府は本気にしているかといえば、おそらくそうだろう。
だからこそ、日本は米国に共同演習実施の要請をかけたのである。
それでは中国が武力で尖閣諸島を占拠した場合、その攻撃を退けるための軍事支援を米国は本当に行ってくれるだろうか?
これに日本が確信を持っているかといえば、いささか疑問を呈しているのではないか。
確かに日本の領域が敵国の攻撃を受けた場合、安保条約上、米国は日本を守る義務を負っている。
だが米国は尖閣諸島を日本の領土だと捉えているのだろうか?
米国が認めているのは、現在尖閣諸島は日本の法治領域にあるという点にとどまっており、この問題について日本の肩を一方的に持つとは一度も言ったことはない。
尖閣諸島は日本が第二次世界大戦の結果失った領域に属している。
米国がこれを日本に返還せざるを得なかったのは、ひとえにアジアの共産主義的脅威を前に日本という連合を持たざるを得なかったからだ。
現在、米国の連合国として中国抑止戦略における日本の役割は再び高まっている。
だが中国は米国にとってライバル国に止まらず、巨大な経済パートナーでもある。
この2大国の経済はあまりにも密接に絡み合っており、それが断ち切られることになれば両国ともにカタストロフィーを味わう。
このため尖閣諸島を理由に米国が中国と喧嘩を始めることはありえない。
また中国も、この諸島が炭化水素、鉱物資源にどんなに恵まれていようと、米国との関係を悪化させることはないだろう。
おそらく両国は互恵的な協力関係をこの先も続けるものと思われる。
米中の協力は中国と日本が尖閣諸島の領有権争いをしていようとも損なわれることはないが、その代わり日中の協力はこの論争のために少なからぬ損傷を受けてしまった。
これは米国にとっては、東アジアの領有権争いと同様、利益しかもたらさない。
中国が東シナ海、南シナ海で諸島の領有権を主張することは、それが正当な要求であるかどうかはさしたる重要性を持たず、中国との領土論争を展開する諸国を米国へと接近させる結果につながり、米国製の武器をふんだんに購入させ、この地域の政治的、経済的同盟を米国にとって都合よく、反中国的な方向性へと向かわせるような結果につながる。
米国は、中国と領土紛争を持つ諸国と連合を組むことで、中国に圧力をかけ、同時に中国とは経済協力を結んで利益を得るとは狡猾きわまりないやり方だが、そうした圧力の結果、中国はより譲歩するようになるだろうか?
これには疑問の余地が残る。
この戦法で米国が一方的に勝利するとは言い難いものの、日本も中国の近隣諸国も米国の行う反中国作戦ゲームに引入られていることは間違いなく、おそらくこのゲームには負けてしまうだろう。
日本は徐々に巨大な中国市場を失いつつあり、すでにゲームでは負けを喫している。
そしてこの結果もおそらく米国の計算の中に入っているのではないだろうか。
11.06.2013
[Russia today(アンドレイ・イワノフ氏)]